旧約聖書における怪物「レヴィアタン(リヴァイアサン)」

トマス・ホッブズが国家の喩えとして使ったことで「リヴァイアサン」として知られるレヴィアタン(レビヤタン)は旧約聖書に描かれている海の怪物だ。創世記1章21で天地創造の五日目に「水に群がるもの、すなわち大きな怪物」として神に創造された。

元々はウガリット神話の7つの頭を持つ蛇ロタン(リタン)が原型だとも言われている。ウガリット神話からは主神バアルがバアル・ゼブブ(ベルゼブブ)として描かれるなど、多く旧約聖書に取り込まれていることから、旧約聖書が誕生していく過程で様々な神話の影響を受けながら取り込まれていった神の一つのようだ。

旧約聖書では以下のとおりヨブ記、詩篇、イザヤ書に描かれる。

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旧約聖書ヨブ記40章25~41章26
25お前はレビヤタンを鈎にかけて引き上げ その舌を縄で捕えて 屈服させることが出来るか。
26お前はその鼻に綱をつけ 顎を貫いてくつわをかけることができるか。
27彼がお前に繰り返し憐れみを乞い 丁重に話したりするだろうか。
28彼がお前と契約を結び 永久にお前の僕となったりするだろうか。
29お前は彼を小鳥のようにもてあそび 娘たちのためにつないでおくことができるか。
30お前の仲間は彼を取り引きにかけ 商人たちに切り売りすることができるか。
31お前はもりで彼の皮を やすでで頭を傷だらけにすることができるか。
32彼の上に手を置いてみよ。 戦うなどとは二度と言わぬが良い。
41
1勝ち目があると思っても、落胆するだけだ。 見ただけでも打ちのめされるほどなのだから。
2彼を挑発するほど勇猛な者はいまい。 いるなら、わたしの前に立て。
3あえてわたしの前に立つ者があれば その者には褒美を与えよう。 天の下にあるすべてのものはわたしのものだ。
4彼のからだの各部について わたしは黙ってはいられない。 力のこもった背と見事な体格について。
5誰が彼の身ごしらえを正面から解き 上下の顎の間に押し入ることができようか。
6誰がその顔の扉を開くことができようか。 歯の周りには殺気がある。
7背中は盾の列 封印され、固く閉ざされている。
8その盾は次々と連なって 嵐の吹き込む隙き間もない。
9一つの盾はその仲間に結びつき つながりあって、決して離れない。
10彼がくしゃみをすれば、両眼は 曙のまたたきのように、光を放ち始める。
11口からは火炎が噴き出し 火の粉が飛び散る。
12煮えたぎる鍋の勢いで 鼻からは煙が吹き出る。
13喉からは燃える炭火 口からは炎が吹き出る。
14首には猛威が宿り 顔には威嚇がみなぎっている。
15筋肉は幾重にも重なり合い しっかり彼を包んでびくともしない。
16心臓は石のように硬く 石臼のように硬い。
17彼が立ち上がれば神々もおののき 取り乱して、逃げ惑う。
18剣も槍も、矢も投げ槍も 彼を突き刺すことはできない。
19鉄の武器も麦藁となり 青銅も腐った木となる。
20弓を射ても彼を追うことはできず 石投げ紐の石ももみ殻に変わる。
21彼はこん棒を藁と見なし 投げ槍のうなりを笑う。
22彼の腹は鋭い陶器の破片を並べたよう。 脱穀機のように土の塊を砕き散らす。
23彼は深い淵を煮えたぎる鍋のように沸き上がらせ 海をるつぼにする。
24彼の進んだ跡には光が輝き 深淵は白髪をなびかせる。
25この地上に、彼を支配する者はいない。 彼はおののきを知らぬものとして造られている。
26驕り高ぶるものすべてを見下し 誇り高い獣すべての上に君臨している。

旧約聖書詩篇74章14
13あなたは、御力をもって海を分け 大水の上で竜の頭を砕かれました。
14レビヤタンの頭を打ち砕き それを砂漠の民の食糧とされたのもあなたです。

旧約聖書詩篇104章26
24主よ、御業はいかにおびただしいことか。 あなたはすべてを知恵によって成し遂げられた。 地はお造りになったものに満ちている。
25同じように、海も大きく豊かで その中を動きまわる大小の生き物は数知れない。
26舟がそこを行き交い お造りになったレビヤタンもそこに戯れる。
27彼らはすべて、あなたに望みをおき ときに応じて食べ物をくださるのを待っている。
28あなたがお与えになるものを彼らは集め 御手を開かれれば彼らは良い物に満ち足りる。
29御顔を隠されれば彼らは恐れ 息吹を取り上げられれば彼らは息絶え 元の塵に返る。
30あなたは御自分の息を送って彼らを創造し 地の面を新たにされる。

旧約聖書イザヤ書27章1
1その日、主は 厳しく、大きく、強い剣をもって 逃げる蛇レビヤタン 曲がりくねる蛇レビヤタンを罰し また海にいる竜を殺される。

初登場時の圧倒的絶望感はどこへやら。どんどんしおらしくなっていって・・・あ、ヨブ記の描写は(色々中二心をそそる)名文だと思う。また、ホッブズが国家の比喩として使った理由も聖書の原文からうかがい知れるし、おそらくホッブズが想定した以上にその特徴が描かれる姿とマッチするようになったのだろう。「驕り高ぶるものすべてを見下し 誇り高い獣すべての上に君臨」する一方で、「あなたがお与えになるものを彼らは集め 御手を開かれれば彼らは良い物に満ち足りる」のだから。

対で語られる地の怪物ベヒモスとともに主に欧州で広く知られることとなり、船乗りの間で信仰の対象にもなる一方で悪魔としても語られる。「魚で始まる世界史」によれば、ユダヤ教ではメシア到来時の宴会でレヴィアタンの肉が振る舞われることになっているためメシアの到来を告げる生き物として扱われているという。人間が食べることが出来る怪物ということで蛇、竜だけでなく鯨や鰐などにも比定されることもある。

また、圧倒的存在感の、しかも神性も帯びる怪物ということでファンタジーの分野でも出番が多い。最近、日本ではマンガ・ゲーム・アニメでごくごく自然に美少女化しているのを何度か見かけた。

参考リンク・書籍
レヴィアタン – Wikipedia
ヤム (ウガリット神話の神) – Wikipedia
バアル – Wikipedia
越智 敏之 著「魚で始まる世界史: ニシンとタラとヨーロッパ (平凡社新書)

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