アニメ「艦隊これくしょん -艦これ-」感想

アニメ「艦隊これくしょん -艦これ-」最終話まで観ました。艦娘たちが動いて喋っているだけでも嬉しいので次々出てくる娘たちの一挙手一投足にニヤニヤしつつも、各話の展開にちぐはぐな印象は拭えず、楽しい気持ちと苦笑との間を忙しく行き来しながらの視聴になりました。

吹雪さんと睦月夕立のメイン三人を始めみんな可愛くて上々ね、って感じでしたが特に陸奥、利根、川内、夕張、瑞鶴、金剛と第六駆逐隊あたりは非常に良かった。むっちゃん最高に美味しいポジションだし、利根ねーさんまじ利根ねーさんで三話最後の色々思いやる複雑な表情は最高だし、川内さんもただの夜戦バカではなく頼れる先輩で惚れ惚れしたし、夕張も貧乏クジ引いたけどなんだかんだ魅力的に描かれているし、瑞鶴は七話の翔鶴姉とのやりとりでの加賀さんへのデレが珠玉、かわいすぎる、また金剛ちゃんはこんなに母性溢れるキャラに描かれていてああ素晴らしい。あ、大淀さんは出撃して欲しかった・・・大淀さんが腰でグッとガッツポーズをしてくれることへの期待がある種見続けるモチベーションの一つだったのだけど。話数で好きなのは1,2,5,6,7,11話かな。

声優さんたちの演じ分けも最大の見所で、これを引き出しただけでもこの作品は非常に価値があると思う次第です。雨雨権藤雨権藤、遠山葛西遠山、代打オレ、などと並ぶ、一人三役四役当たり前、まるで遺伝子配列と見紛う美しき東山佐倉東山佐倉の二重らせんの連鎖、ああこの時が永遠に続けばいいのに・・・

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足柄、大井北上、霧島

なんだかよくわからないふわふわした世界観と唐突に脈絡なく挿入される原作セリフの中で、概ねみんな生きたキャラクターとして描かれていたのは一つ成功と言っていいのかな。

足柄さんについては、原作設定から二次創作までシームレスな世界の中で作品に相応しいかたちでの取捨選択があるでしょうから特に気にしないですが、おそらく婚活キャラと対になる戦闘好きの面が全く描かれなかったのは残念なところかな。例えば序盤で援軍として現れる金剛型四姉妹に那智足柄コンビでも混ぜて戦闘に参加させても良かったと思うのですが。

むしろ、婚活ネタは外部の世界が全く描かれない中でほぼ唯一の外部との接点を示すもの、つまり艦娘にも交際の対象となる異性がいる、ということは艦娘は人間なのか、人間という自意識があるけど別種の存在なのか、どちらにしろ艦娘と接触可能な人間or存在が鎮守府の外にいるということを想像させて、ネタとしてより疑問の方が先に浮かぶ結果になったかな。そういう浮かんだ疑問を一旦後景に追いやるという過程を経てあるがままにそれをキャラとして楽しむという姿勢に変えていく必要があったので、足柄さんのキャラはネタをネタとして楽しむために努力を求められたという印象だった。それを乗り越えたら種田さんの好演もあって六話は良い感じに楽しめたです。

大井北上については、まぁ大井っちは特になんとも思わなかったけど、北上さんがほぼ大井っちとの関係に独占されてキャラクターが制限されてしまったのが個人的には残念だったです。駆逐艦うざい、と言いつつもいいお姉さんになる北上さんを想像したりするところではあったので。

足柄さんや大井北上はともかくとして、霧島さんはメガネを取ったら戦えません。霧島さんはメガネを取ったら戦えません。重要な事なのでもう一回繰り返しますが霧島さんはメガネを取ったら戦えません。そこだけは、思わず全門斉射してやってくださいって気分になったのでよろしくお願いします。あ、霧島さんと言えば、四話で「艦隊の頭脳」が「男塾一のインテリ」ぐらいの意味になっていたのは爆笑しましたけど。そういえば江田島だなここ。

ところどころみられる様々な要素から矛盾なくキャラクターのアイデンティティを組み立てることよりも、一部の設定を無視する形で一面だけ強調する手法が取られてい点をどう評価していいのか、少し困るところです。

「何を伝えたかったんだと思う?」

基本的には吹雪の成長物語で、彼女の成長を通じて鎮守府の仲間と勝利をつかむという王道路線なはずなんですが、11話で明かされたのが「さだめのくびき」と赤城さんが呼ぶ「かつて起きた出来事を繰り返させようとする力」があるというもので、これに打ち勝つことで、史実のミッドウェー海戦に模されている「MI作戦」に勝利することが最終的な目標となっています。

三話の如月轟沈、七話の祥鳳炎上などを「さだめのくびき」があったからと伏線回収的に機能させようとしたのかもしれないですが、どちらも「さだめのくびき」という深刻な主題というよりは史実の結果なぞっただけの「パロディ」という程度にしか受け取ることが出来ないのが残念なところで、これは各話放送時も終了後も変わらない印象です。

これは二人の轟沈炎上に至る過程を当事者である如月、祥鳳を中心にして描かなかったところにあると思います。最終盤MI作戦での「さだめのくびき」打破を劇的に描くために、二人の轟沈は時間をかけてそうせざるを得ないと納得させるように描く必要があったのではないでしょうか。

如月の轟沈

W島攻略を序盤に押し込めずに後半にもっていくことで如月と睦月の関係を二話の駆逐級と三話前半の駆け足の描写だけで済ませず、前半じっくり描くべきで、例えば作中でもW島作戦終結後三水戦解散・部隊再編成が行われますがこれを前倒しして予め夕張・睦月・如月・弥生・望月の概ね史実通りかつ作中でも同作戦の中心メンバーの艦隊を作ってその活動を遠征だったり六話のカレー大会に参加するなどさせつつ睦月と吹雪との交流を描いておく。その上で如月が主体的に感じる「さだめのくびき」を描写しておく。如月轟沈に至る過程は後々の重要性を考えればあんな駆け足で押しこむものではなかったはずです。

四話はハイテンションギャグを織り交ぜつつ睦月の傷を癒やす、収拾がつかないようにみえてなかなか上手い回だったと思いますが、この回が残念だったのは、睦月は救ったけど直接同じ艦隊で如月の轟沈を目の当たりにした夕張弥生望月は救わなかった回、でもあって、そこがどうにも釈然としなかったんですよ。五話で夕張が責任を感じているという描写がありましたが、吹雪が睦月を癒やすこと通じて夕張弥生望月も救うという過程がやはり必要だったはず。六話で夕張の元気そうな姿が出た時、ニコニコ動画の配信でも夕張元気そうでよかったという安堵のコメントが流れていたのを見かけましたが、まさに僕も同様の気持ちでした。

祥鳳の炎上

祥鳳も、作中ではMO作戦に参加する事実と炎上するシーンの描写のみでその後どうなったかすらわかりませんが、これも、最終決戦での「さだめのくびき」打破という目標を考えれば、きちんと伏線として機能させるために、祥鳳を登場人物として描く必要があったはず。そして、殺すならちゃんと殺せ。

史実では祥鳳はトラック泊地からMO作戦に出撃していますが、作中では大和がトラック泊地におり、しかもそこを吹雪はじめメインキャラが訪れて大和と交流するエピソードが八話であります。これを前倒ししてトラック島に大和と祥鳳がいることにすればよかったんじゃないかと思います。祥鳳と吹雪、大和、赤城、長門という後のMI作戦主力との交流を描き、その上で祥鳳が感じる「さだめのくびき」の描写を経てのMO作戦での炎上が、後々大きな伏線になりえたはず。如月に続く祥鳳の炎上を通じて、吹雪、大和、赤城、長門はそれぞれ大なり小なり「さだめのくびき」の存在を感じるだろうし、それを通じて視聴者も艦娘の轟沈を伏線として理解することが出来ます。

「さだめのくびき」の打破

二人の轟沈を経て、主要登場人物の間で「さだめのくびき」の打破が共通の目標となった上で、それぞれの意志と努力があって、それぞれが共通の目標をもって戦いに臨み、力を結集させるという過程を通じてはじめてクライマックスがクライマックスとして機能するんじゃないんでしょうか。大和にしろ長門にしろ独白だけで済ませて良い話ではないように思います。

また、第五遊撃部隊ももったいない。史実には無く、しかも主人公吹雪旗艦という胸熱部隊ですが、これもあっという間に解散させられて機能しなかった。瑞鶴加賀のいちゃいちゃを引き出しつつ、吹雪が曲者をまとめ上げる成長を見せたこと、五航戦の窮地に駆けつけることで現状を打破する力を持っていることを描く良い入れ物で、うまく使えば「さだめのくびき」打破のキー艦隊としてMI作戦でも十分にお話を盛り上げられていたかもしれないのに。

艦娘たちの叶わぬ願い

大体、艦娘の「在りし日の軍船の魂」(一話冒頭ナレーション)を持っているがゆえの様々な願いって、例えるならセイバーにとっての「ブリテンの救済」、暁美ほむらにとっての「鹿目まどかの救済」、岡部倫太郎にとっての「まゆしぃの命」みたいなもので、背景に太平洋戦争があるだけにそれらとも比較にならぬほど重い、「決して叶わぬ願い」という様相があるでしょう。それゆえに、轟沈させたくない、幸せな日常を送ってほしい、という結構切実な感覚を少なからず艦娘には抱くところがあります。アニメ開始前もアニメに対して日常モノが見たいという意見が多くみられていましたが、それってこの感覚から発しているものじゃないかと理解しています。

一方で、艦娘たちが軍艦であるということから叶わぬ願いを抱き、過酷な記憶を背負ってでも戦わなければならない存在であるという点で戦う姿もまた見たいと思いますし、その両者の綱引きは落とし所が非常に難しいところがあるでしょう。それだけに、戦いをどう描くか、はやはり相当練りに練られる必要があって、そこがこの作品の大きなネックになっているんではないかと思います。アニメが選択したのはまさに「決して叶わぬ願い」を叶えようとすることだったわけですが、実のところそれを描くために、他の作品と較べて相当高度なハードルが予め存在しているのがこの原作ゲームである、という点と、それを描くための準備を残念ながら軽く見積もってしまっていたんじゃないかという点に、このちぐはぐさの最大の要因があったんじゃないかと思います。

「いない提督の相手をするのはよせ。」

ところで提督ですけど、なんというか端的に言うと「いない者の相手をするのはよせ。やばいんだよそれ。」ですなぁ。これ、せっかく提督をいないものとすることで「さだめのくびき」さんを食い止めているのに、艦娘たちが提督好きすぎて相手にするから次々と・・・あれは嫌な事件だったね。

これ、提督を描かないことで艦娘たちだけの世界に視聴者を没入させようとしたのだろうと思いますが、むしろ自身の立場を投影させる対象を喪失させたことで、作品に一歩距離を置かせることで引いた目線を与えてしまい、色々逆効果なんじゃないかと思いました。

提督をキャラクターとして描いておけば表情や台詞で簡単に処理できるところが、それ以外の外部環境を使って描かないといけないから、自ずと視聴者に努力を強いるし、この鎮守府はどんな提督なのかを理解しようとするのに非常に時間がかかって、しかも理解出来ないまま終わるという。

まぁ艦娘たちのほのぼの日常だけなら提督いなくても良いんでしょうが、轟沈も起こりえるシビアな戦いの中で、様々な決断が必要な状況で、しかも艦娘たちとのディスコミュニケーションすら描かれる中で不在であり続けるのは、誤解の元にしかならなかったし、クライマックスで提督の不在による同様から帰還を一つの達成として描くならいないものがいなくなったところでどうなるものでもないから、提督を描かないことが物語の土台を崩す結果にしかなっていないのがちょっと残念だった。

「サプラーイは大切ネー」

アニメにおいて物語を動かす要素として、編成を左右していたのが高速修復剤の枯渇問題で、史実でも軍艦の修理作業で数ヶ月~一年などは当たり前、修復によって艦隊編成が変わる。それを受けての修理が間に合わないから特に空母の編成が変わるということになるのですが、それを反映させるために高速修復剤が枯渇しているという設定が描かれた。

一方、兵站ゲームである原作ゲームだと高速修復剤ってすごく簡単に入手出来るんですよ。イベント前ともなるとある程度やり込んでいる人なら1000~2000個ぐらいは当然のように貯めている。枯渇するって相当な状況で、そこから、兵站を軽視するアニメ提督という見方が必然的に広がってしまう。これは提督を描かないことで外部環境から提督の評価を判断せざるをえないことによって、アニメへのネガティブな見方を促進してしまう。

提督を描かないのなら、作り手は外部から推測できる提督像に関して非常に敏感になる必要があって、兵站を軽視する提督という評価に繋がらないように、より詳細に置かれた状況を描く必要が出てくる。これ、原作ゲームのもう一つの要素である疲労を使うと修復が間に合わないと同様の描写が出来るのにと思っていました。修復は完了しているけれど、疲労が溜まっていて出撃できない、で簡単に説明つくし、兵站を軽視する提督というネガティブな評価から、艦娘を無理させないホワイト提督へと評価はがらりと変わったはずでち。それに疲労を押して出撃を直訴する艦娘、みたいな熱い展開もできるし、その熱意を見て近寄ってくる間宮さん「これを食べなさい」「これは!力がみなぎってきます!」みたいなさぁ、できるでしょ、間宮さんも活かせるでしょ。

「誰がために戦う」

“だが我々は愛のため、戦い忘れた人のため~♪”

それでも、作中は概ね一貫して鎮守府側が主導権を握っているように見えるので、修復終わるまで出撃待てばいいのにと思ったりはしていたんで、例えば、他の鎮守府が攻撃を受けているとか深海棲艦の大艦隊が包囲網を築いて補給路を寸断しようとしているとかなんらかの敵の先制行動を描くことで、一刻も待てないから今ある戦力で迅速に敵を叩く必要があるという今そこにある危機をきちんと描く必要があったんじゃないかと思います。鎮守府空襲はなかなか意外性があってよかったとは思いますが。

敵の脅威を描くことで主人公たちの行動の正当性を担保するのって基本だと思うのですが、あまりそこに描写を割いていないので、作戦行動の切迫性が薄く、それが例えば如月の轟沈の必要性への疑念にも繋がって作品そのものへのネガティブな評価へと、次々視聴者側の評価の負の連鎖を呼びやすい作りになっているのがなんというか言葉がない。

「悖らず、恥じず、憾まず」

続編製作決定とのことで「悖らず、恥じず、憾まず」の水雷魂で作って欲しいところです。ちゃんと続編も見るつもりですので。

五省 – Wikipedia
一、至誠しせいに悖もとる勿なかりしか
真心に反する点はなかったか
一、言行げんこうに恥はづる勿なかりしか
言行不一致な点はなかったか
一、気力きりょくに缺かくる勿なかりしか
精神力は十分であったか
一、努力どりょくに憾うらみ勿なかりしか
十分に努力したか
一、不精ぶしょうに亘わたる勿なかりしか
最後まで十分に取り組んだか

何で自分は艦これアニメの感想に六千文字も書いてしまったんだか。

一話の感想

2015冬新アニメ「艦隊これくしょん -艦これ-」1話感想
艦これアニメ第一話、面白かったです。始まる前まではとりあえず艦娘たちが動いてくれるだけでもいいやぐらいに思っていたんですが、結構ちゃ...
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何気に水本提督のとこの吹雪好き。

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