今年の15冊

今年読んだ僕が大きく影響を受けたり考えさせられた本一般書10冊+小説・エッセイ5冊。

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一般書籍10冊

1.「日本の歴史をよみなおす」網野善彦著

日本の歴史をよみなおす (全) (ちくま学芸文庫)
網野 善彦
筑摩書房
売り上げランキング: 2,925

農民中心の民衆史を大きく転換させた歴史論の傑作。商工業者や漂泊の民が日本の歴史に大きな影響を与え、南北朝期が日本の転換点だったという説は実に説得力があってダイナミックで魅力的。

2.「「空気」の研究」山本七平著

「空気」の研究 (文春文庫 (306‐3))
山本 七平
文藝春秋
売り上げランキング: 3,356

日本社会における空気の支配についての分析とあわせて圧巻は最後。余りに的確に今を言い当てている。

おそらく日本は、その能力(注:言葉によって未来を構成する能力)のある集団ともたない一般人との双方に別れていくであろう。
(中略)
結局新しき士大夫がすべてを統治して「民はこれに依らしむべし、知らしむべからず」の、儒教的体制へと戻って行くであろう。そして戻っていくことを、心のどこかで人々は半ば認めだしたのではないかと思われる兆候もある。これに対して「自由」はいかなる位置に立ちうるのか。

空気がますます猛威を振るう現代において、とても考えさせられた一冊。別途考えをまとめたいと思います。
3.「生物と無生物のあいだ」福岡伸一著

生物と無生物のあいだ (講談社現代新書)
福岡 伸一
講談社
売り上げランキング: 1,641

秩序は守られるために絶え間なく壊されなければならない。

そして、生命は機械論的に分けることは出来ず、常に動的平衡する。
ここに至るアプローチと人間ドラマに心震えました。僕の内面に関して価値観の転換に何らかの影響を与えられた一節かなと思う。常に私は新しい私であり、動的に平衡状態で成り立っている。という事実は輝きを持っていると思います。
4.「鎮守の森」宮脇昭著

鎮守の森
鎮守の森
posted with amazlet at 14.08.19
宮脇 昭 板橋 興宗
新潮社
売り上げランキング: 606,201

神社の鎮守の森をテーマに植物生態学の権威宮脇教授がそれぞれの土地に合った自然の森作りの重要性を書いた一冊。とりあえず木を植えたいという思いに駆られるのと、自然の中に身を寄せたい気持ちになります。
5.「ユング心理学入門」河合隼雄著

ユング心理学入門
ユング心理学入門
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河合 隼雄
培風館
売り上げランキング: 38,787

著者がユング心理学を日本に紹介するために書いた入門書。
客観的であることで近代の自然科学は発展したが、敢えて主観的であることもまた重要だと気付かされる。HowではなくWhyの問いに対して心の安定をもたらすということを目的にしている点において、科学ではない(と本文中にもあるけど)が実践的だなぁと思う。そしてそういう、主観的なものの見方もまた同時に人には必要なのだなぁと思わされる。そういう人の理解と安定のためのヒントとしてとても役に立つ一冊。
6.「神話学とは何か」吉田 敦彦, 松村 一男 著

神話学とは何か―もう一つの知の世界 (有斐閣新書)
吉田 敦彦 松村 一男
有斐閣
売り上げランキング: 1,599,683

神話学の入門書として適切だと思う一冊。神話は人々のプリミティブな思いが体系化されたものではないだろうか、ならば今こそ神話を知ることで人々の思いの理解に繋がらないだろうかということでこの本を読んだのだけど、期待以上に良い内容でした。
7.「日本という方法」松岡正剛著

日本という方法―おもかげ・うつろいの文化 (NHKブックス)
松岡 正剛
日本放送出版協会
売り上げランキング: 118,694

日本には基層になる文化があるわけではなく、日本という方法があって、その方法に沿って様々な他文化を取り入れていっているということを博学な著者が語った本。この本を基点に様々な興味の範囲が広がったなぁと思う。そういう意味で興味のハブになると言って良い一冊かな。
8.「ウェブ時代をゆく」梅田望夫著

ウェブ時代をゆく ─いかに働き、いかに学ぶか (ちくま新書)
梅田 望夫
筑摩書房
売り上げランキング: 46,180

知と情報の高速道路。高速道路をひた走ったあとは渋滞があるので、そこからさらに渋滞を抜けるかけものみちに降りるか、という現代の特にウェブに密接な人達の生き方のロールモデルを提示した本でした。が、現実的な方法論でとどまっているようにも感じた。そこが惜しいかな。この先がまだあるよね。この先を描くことこそが真のロールモデルになるんじゃないだろうか。そのヒントは山本七平と網野善彦にあるのではという気がしていて、今度この本の感想を書いた後に考えがまとまったら書こうかなと思っている。

9.「「外なる自己」のつくり方―性格を変える新人間関係論」山田和夫著

「外なる自己」のつくり方―性格を変える新人間関係論
山田 和夫
亜紀書房
売り上げランキング: 586,579

性格とは無意識下に存在するいろいろな自分の総合体であり、静的でなく動的に人間関係の中で出てくるものである。人間関係の中で演出された自己こそ、結局のところ自分なのだ。

この一節だけでこの本の価値は最高に意味深いものがあるだろう。特に「生物と無生物のあいだ」とあわせて人間の本質が常に変わり行く動的なものであるという事実を受け止めることができた本。”本当の自分”などない。様々な状況で様々な形で現れる自己にどう繋がりを持たせるか、がこの本を読んだ時以来の僕のテーマだ。
10.「ぼくには数字が風景に見える」ダニエル・タメット著/古屋美登里訳

ぼくには数字が風景に見える
ダニエル・タメット
講談社
売り上げランキング: 47,801

その生き様に共感した。とあわせて、彼には数字が風景に見え、そしてそれは彼のリアルの一つであるわけだけど、僕の風景には何がうつっているだろうか。僕のリアルとは何か。そういうことを考えさせられた。

小説・エッセイ5冊

1.「羊をめぐる冒険」村上春樹著

羊をめぐる冒険(上) (講談社文庫)
村上 春樹
講談社
売り上げランキング: 9,377
羊をめぐる冒険(下) (講談社文庫)
村上 春樹
講談社
売り上げランキング: 16,261

村上春樹的個性化の過程である。多分、とても僕が読んだ時期が、読むべき時期に最適だったこともあって、何度も何度も読み返した。今年の前半はこの本とともにあったと言ってもいい。以前感想で書いたとおり「前へと進むべく、自分の不足を補うために、敢えて今の何かを捨て去る痛みを味わうことが成長ではないだろうか。」という思いを抱いた。

2.「ぐるりのこと」梨木香歩著

ぐるりのこと (新潮文庫)
梨木 香歩
新潮社
売り上げランキング: 189,690

このエッセイの価値はこの一節にある。

世界の豊かさとゆっくり歩きながら見える景色、それを味わいつつも、必要とあらば目的地までの最短距離を自分で浮かび上がらせることができる力が欲しいのだ。要点を分かりやすくクリアーにして、自家薬籠中のものにしていく、使える力にしていく達成感にも覚えがある。
けれど外的世界を内側にリフレクトさせながら、それらが互いに深化してゆく、その旅の醍醐味がなかったら、「目的に向かう」という行為に、どれほどの意義が残っているというのだろう。

太字のところは暗唱できるほどに何度もかみ締めています。実感しない生き方にどれほどの価値が?

3.「からくりからくさ」梨木香歩著

からくりからくさ (新潮文庫)
梨木 香歩
新潮社
売り上げランキング: 91,450

アイデンティティが織り込まれ、そして一瞬のきらめきと共に焼け落ちる、著者渾身の一冊。これが多分彼女の最高傑作ではないだろうか。ご都合主義な展開もあるかもしれないが、まさに人々の想いが織り込まれて大団円を迎える構成には軽い高揚感とともに震えさせられた。
4.「ダンス・ダンス・ダンス」村上春樹著

ダンス・ダンス・ダンス(上) (講談社文庫)
村上 春樹
講談社
売り上げランキング: 18,552
ダンス・ダンス・ダンス(下) (講談社文庫)
村上 春樹
講談社
売り上げランキング: 21,448

まだ、考えがまとまっていないので、もう一度か二度読み直したいと思っているのだけど、軽く雑感として。
ハッピーエンドに見えるんだけど、その幸せもいつかは喪失するんだろうなぁという予感に満ちているなぁ。”僕”は最後の白骨のことを心の隅に抱えながら生きていくことになるんだろうという予兆がある意味残酷にも思う。死を孕みながら踊り続けるんだろう。という感じ。面白かった。
5.「こころの処方箋」河合隼雄著

こころの処方箋 (新潮文庫)
河合 隼雄
新潮社
売り上げランキング: 3,831

味わい深く含蓄のある優しさに満ちたエッセイ集。

道草によってこそ道の味がわかるとは言っても、それを味わう力をもたねばならない。そのためには漱石の『道草』ほどまでにはいかないとしても、それを眺める視点をもつことが必要だと思われる。

これにとても同意したのだけど、それ以外にも最近「100点以外はダメなときがある」というのはとても実感したことがある。その他、何度も読み返したい一冊。
以上、来年も良い本と出会えます様に。

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