「渋滞学」西成 活裕 著

渋滞学 (新潮選書)
渋滞学 (新潮選書)
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西成 活裕
新潮社
売り上げランキング: 9,400

世の中に発生する様々な渋滞。車、人、アリ、インターネット、電車に飛行機に、あるいは血液やたんぱく質まで。その渋滞の原因と構造を分析する分野横断的な新しい学問「渋滞学」について、渋滞学の当事者が解説した書籍。とても興味深く読んだ。
本書では渋滞の構造を粒子で考える。
ニュートンの物理的な三つの法則「慣性の法則」「作用=反作用の法則」「運動の法則」が成立するものをニュートン粒子と呼び、それに対して、その三つの法則が適用されないものを「自己駆動粒子」と呼ぶ。
この自己駆動粒子は意思を持ち自発的に動くため、三つの法則が当てはまらない。つまり、水などではなく人や生物、あるいは人がコントロールする車などが自己駆動粒子であり、この自己駆動粒子の分析が渋滞学の対象となっていて、自己駆動粒子の渋滞解消が渋滞学の目的ということになる。
そして、第二章~第四章までそれぞれ車、人、アリの渋滞について解説され、第五章はインターネットを初めとした様々な渋滞、第六章で今後の渋滞学の方向性について解説されている。
物理系の知識は僕はかなり薄いので、数式なんかはほとんど理解できなかったけども、全体像としては把握出来た。
あと、僕も著者同様に人ごみがとても苦手なのだけど、その理由の一端もこの本でわかった気がする。
人はパーソナルスペースという確保したい領域を身体の外に持っていて、それが侵害されないように行動する。また、このパーソナルスペースからより広い範囲の情報を利用して行動する。これは自分の身体から半径五メートル程度前方に広がった楕円の形をした領域だという。目や耳に入ってくる情報は主にこの範囲の情報をフィードバックすることで行われる。この情報処理空間が確保できないと人は不安になり、その強い圧迫感が心理的不安を巻き起こすことがある。という。
これはいわゆるヤマアラシのジレンマやカクテルパーティー効果などを以前このブログで記事にしたけれども大きく関係することだろうと思う。
人の渋滞が及ぼす外的な動きとあわせて、このように内面的な、心理的な部分もちゃんと解説しているいい本です。
また、今後渋滞学はスモールワールドやスケールフリーといったネットワーク理論、ゲーム理論や囚人のジレンマなども踏まえてさらに発展していくという方向性なようで、さらに発展して深化した成果に期待できる分野ですね。
これ、数学的解説のところも理解できるとさらに深くわかるのだろうけども、そこは今後努力しますということで。
大変知的好奇心をそそられる面白い本でした。

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