「発達障害かもしれない」磯部 潮 著

kindle版

発達障害のうち軽度発達障害と呼ばれる自閉症、高機能自閉症、アスペルガー症候群の自閉症スペクトラムと呼ばれる一群の症状とその実例、そして治療について、およびそれに関連して、注意欠陥多動性障害(ADHD)、学習障害(LD)について簡潔に解説した一冊。著者は自らも医師として発達障害の子供たちの治療にあたっている。

新書サイズで要点を押さえており、これらの発達障害に関する概要を掴むのに最適だと思います。アスペルガー等については色々資料を揃えてからブログに書いていきたいと思っているのでここでは割愛して、この本について全般的なところの感想を書きますね。

こういうの図で見るのが一番速いと思うので、同書で使われていた図をアレンジして引用します。
発達障害
同書P11を元に作成

この図で一目瞭然だと思うのですが、この本では主に左端の自閉症スペクトラムに含まれる三つについて解説しつつ、右端のADHD、LDについても触れているという構成です。

自閉症には知的障害を伴うものとそうでないものがあり、後者を高機能自閉症と呼びます。また高機能自閉症とアスペルガー症候群は併発することがあり、さらにそれらの症状として顕著な三つ
1)社会性の障害
2)コミュニケーションの障害
3)創造力の障害
を厳密に満たさない一群を自閉症スペクトラムに入るものと扱われます。

この本で著者が強く訴えているのは、このような発達障害への理解とともに、早期診断の有効性と、発達障害でない人々の理解の重要性です。著者は医師の立場から、発達障害の子供たちや家族が社会の発達障害に対する無理解によって辛い思いをしている状況を痛感したと書いています。

世間の彼らに対する冷たさは、彼らの社会性の障害に由来しています。私たちが成長過程で自然と身に付けるはずの、他の人の気持ちをわかる・考えるという能力が、彼らには生まれつき欠落し、大人になっても自然に覚えることはありません。このため、周囲の人は彼らをまったく理解できないのです。(中略)この障害は、決して精神的な甘えや葛藤から生じるものではありません。純粋に器質的な障害であり、しかも目に見えない摩訶不思議な障害なのです。(中略)
私たちが日々経験を積み重ねていくような、世の中の人と人との付き合いという世界は、彼らにとっては想像もつかない別世界なのです。ですから私たちは彼らの世界を想像し、私たちのほうから入っていく努力をしなければなりません。
この努力は必ず実を結びます。本書で何度も述べたように、早期に療育を始めるほど、よりよい結果をもたらすことができるのです。

この著者の熱意に心動かされました。自分自身、発達障害は勿論のこと、様々な人間の多様性について無理解であることを最近実感しています。他者の世界に対する想像力がとても低いなぁと反省しきり。

一日も早く自閉症スペクトラムの概念が世の中に浸透することを祈念しています。

現代の日本はKYなどコミュニケーションに対する同調圧力が強く、また、個性的であったり皆と違うことを笑う傾向が強くなってきているなぁと思います。そのため、発達障害に対する理解とは別のレイヤーで浸透しにくい状況にあるように感じられてなりません。しかし、それでも世の中が自閉症スペクトラムを含めて多様性を笑わない世界になることを祈念します。そのために祈るだけではなく僕はその理解に努めようと思っています。冷静かつ的確な解説と、著者の熱意を感じることが出来る一冊でした。

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