「東京おさぼりマップ―リフレッシュスポット230件徹底ガイド」東日本仕事と憩い研究会 著

東京おさぼりマップ―リフレッシュスポット230件徹底ガイド
東日本仕事と憩い研究会
山海堂
売り上げランキング: 586,315

東京都で「20分間のリフレッシュ」ができる「おさぼり」「寄り道」スポットを街ごとに計230箇所に渡って紹介するガイド本。
安西水丸、泉麻人(ってこのあたり散歩本と言えば定番な人たち)など著名人の「おさぼり」に関するエッセイが掲載されているのだが、その中でも歌人・エッセイストの穂村弘のエッセイが素晴らしい。

寄り道やおさぼりとは、「この人生」と「もうひとつの人生」のふたつの時間が混ざり合う場所なのではないか。「もうひとつの人生」の空気をつかの間吸ってみることで「この人生」への活力を補充する。そんなことを繰り返して生きているうちに、本当にふたつの人生が入れ替わってしまう日がくるかもしれないのだ。

「寄り道」「おさぼり」の本質を突いていると思う。
「寄り道」や「おさぼり」で味わう濃密な時間は確かに何ものにも変えがたい。僕も穂村同様に遠回りするし、公園のベンチに座って時の流れに身を任せることが往々にしてある。以前会社勤めしていたとき、通勤時や会社からの外出時はどうやって喧騒を避けて遠回りしながら心地よい濃密な時間を味わうかに重きを置いていたように思う。それは上記にあるようにふたつの人生が入れ替わってしまうかもしれないというスリルであると同時にどうしようもなく本質的に染み付いた習性のようなものを感じていた。
様々なおさぼりスポットやノウハウが紹介された本なのだけど、この穂村のエッセイを読めば、本の趣旨全体をひっくり返すようなことだけど、実はおさぼりに行く場所やノウハウの紹介など必要ないことが理解できると思う。
歩みたいと思うもう一つの人生の方向へ一瞬だけ舵を切ればいい。どんなに忙しいときでも、もう一つの人生が並存している。それを体験する。そのあやうい境界を一瞬だけさ迷う。そして戻る。それだけだ。しかし何かのきっかけで戻れないことがあるかもしれない。それは戻ることができなかった人生なのだと思う。

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