「私のギリシャ神話」阿刀田 高 著

私のギリシャ神話 (集英社文庫)
私のギリシャ神話 (集英社文庫)
阿刀田 高

作家阿刀田高が選んだギリシア神話の18の神々・英雄を紹介した一冊。著者によるとギリシア神話本には
(1)網羅的に集めたもの
(2)編集者の考えで主要なものだけをピック・アップしたもの
の二種類があり、この本は後者にあたります。

ギリシア神話は紀元前十五世紀ごろから人々の間で語り継がれていたものが紀元前九世紀~八世紀にホメロス、ヘシオドスにより文章として記録され、その後も長い年月をかけて変化し、様々なエピソードが付け加られていった集合知的神話体系で、西洋文化はギリシア神話とギリシア哲学への言及から発展していったと理解しています。

ギリシア神話の世界を、西洋の人々が実感として抱いているような感覚で触れることが出来ると、それが文化の理解につながるのではないかなと思うのですが、ギリシア神話は長い年月をかけて作られてきたものであり、神話であるが故に多様な把握の仕方が出来るのが特徴です。後々の人々がギリシア神話を語るとき、その時代の、その人がギリシア神話のエピソードをどのような思いや理解で切り取り、語っているのかを、把握するために、ギリシア神話を常に参照できる状態にしておきたいなぁと思います。

で、ギリシア神話に触れようと思ったら、当然網羅的に集めたものへと進むことになるのだけど、その前段階で主要エピソードを把握し、楽しむのに、この本は良いんじゃないだろうかと思います。軽妙な語り口で、様々なギリシア神話のエピソードが紹介されてとても面白かったし、ところどころで、例えばこの神様はいくつかの民族の神様のエピソードが合わさったものではないか、などの阿刀田高なりの見解も簡潔に示されていて、興味をそそられます。

紹介されているエピソードだとゼウスのやりたい放題っぷりと、キューピッドこと幼神エロスのトラブルメーカーっぷり、三女神の意地の張り合いに巻き込まれる羊飼いパリスの運命がとても面白かった。

これを読んだ後は網羅的に集めたものに目を通したくなるのですが、阿刀田高によると、(1)網羅的に集めたもの、でオススメは呉茂一のだそうです。

ギリシア神話 上 (1) (新潮文庫 く 6-1)
ギリシア神話 上 (1) (新潮文庫 く 6-1)
呉 茂一
ギリシア神話 下    新潮文庫 く 6-2
ギリシア神話 下  新潮文庫 く 6-2
呉 茂一
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