日子という女性名が無い理由を外国人に説明できない?

@tororosobaさんの「日子が無くて、昌子は”まさこ”で、晶子が”あきこ”な理由を外人に説明が出来ない」というつぶやきに対するid:love_chocolateさんのエントリーが興味深かったのですこし乗っかってみますです。

日と昌と晶の違い – チョコっとラブ的なにか
「彦」=「日子(日の子供)」は、男性の名前につける字です。比古とあてる場合もあるようです。
記紀に「彦」のつく名前は多いです。 「日子」は、太陽の子だけあって神様の子孫を意味するようで、王族や貴人の男子の名として使われていたようです。
ちなみに女性の場合は「日女」=姫です。天照大神の別名も、大日女・大日●*1(おおひるめ)と「日女」が付きます。「日」だけが入っている名前も男女ともあったりします。

日と昌と晶の違いは全然知らなかったのでへーと思いました。
で、古代の「ヒ」は太陽という意味が主ではなく、ヒ=霊力という意味が主ですね。とくに「ムスヒ」(ムス=産む。何かを生み出す霊力というような意味)という概念が原始時代には強くて、神様の名前にもヒが特に自然神に多く使われたのも自然の中にあるそういう特別な力みたいなのが強く信じられていたからです。たぶん、木々が春になると芽を出すとか稲穂が垂れるとかそういうのを見て古代の人は「すげーぱねぇっす」とか思ってたはず。そういう得体の知れないすごいエネルギーみたいなのを「ヒ」と総称してた。
だいぶ前に書いた記事ですが

アマテラスの原風景
イ=神聖なもの
  イノル(祈る)→イ(神聖なこと)ノル(告げる)
  イノチ(生命)→神聖な霊力の意味
  イワフ(祝)→イ(神聖な)ハフ(行為、行動)
ヒ=霊
  ヒト(人)→ヒ(霊)のあるところ(ト)
  ヒコ(彦)→霊力のある男子
  ヒメ(姫)→霊力のある女子
サ=神聖さ
チ=神霊
ミ=神

で、同書から引用した部分がとても良くまとまっていたので再引用すると。

「アマテラスの原風景」(P51~P52)
原始時代の人々は全ての自然現象、人間の行動、人生の全てを、納得のいくかたちで説明する必要を感じていた。(中略)そのときにそれを「霊」によって説明しようとしていた。そこでさまざまな名を持つ「霊」概念が生み出されていったわけである。そうしてそれらの霊を総括する概念としてカミ(神)という言葉が用いられるようになったと考えられる

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なので、ヒコとヒメの間の子どもはムスコ(産み出された男子)、ムスメ(産み出された女子)ですね。日、火などもともに日々の生活の中で霊力を発揮するがゆえにヒと呼ばれたということなのかなと。

神 (神道) – Wikipedia
「チ」「ミ」「ヒ」(霊)は自然神によくつけられ、精霊を表す(カグツチ、オオヤマツミなど。ツは「の」の意味)。「チ」より「ミ」の方が神格が高いとされている。「ヌシ」(主)「ウシ」(大人)は位の高い神につけられる(オオヒルメノムチ(アマテラスの別名)、大国主など。「ムス」(産)「ムツ」(親)「ムチ」(祖)は何かを産み出した祖神を表し「キ」「ヲ」(男)「シ」「コ」(子)「ヒコ」(彦・比古・毘古)は男神、「メ」(女)「ヒメ」(媛・姫・比売・毘売)は女神につけられるものである。特に「メ」のつく神は、巫女を神格化した神であるとされることが多い。「コ」は国造(ミヤツコ)小野妹子など、元は男性を表したが、藤原氏が女性名として独占し、近世までは皇后など一部の身分の高い女性しか名乗れなかった事から、現代では女性名として定着した。

って何の話でしたっけか、そうそう。「日子が無くて、昌子は”まさこ”で、晶子が”あきこ”な理由を外人に説明が出来ない」理由ですね。
ヒコ、ヒメは上記のような理由で古代に多く使われて、子は元々男性をあらわすはずが、藤原氏が女性名にしちゃった。で近世になって誰でも女性に子をつけられるようになった。でもヒコというセットでは男性名のまま今まで残ってきた。ってのが日子が無い理由ですね。日本神話レベルに遡って話したらたぶん外人おおよろこびですよ(笑)まさことあきこはわかんないですけど(笑)
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5 日本語って本当に奥が深い。

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