亀井金融相のモラトリアム制度は平成の棄捐令か?

返済金猶予制度、苦しくなる金融機関には公的資金も=金融相 | Reuters
 亀井郵政・金融担当相は、モラトリアムを実施する中で資金不足に陥る金融機関が出る場合には、公的資金を注入すればよいと述べた。「現在も地銀に資本注入している。返済猶予をしていなくても資金繰りに困っている金融機関もあり、ましてそういうこと(返済猶予)で資本注入しなければいけないところが出てくれば(資本注入)すればよい」と語った。「どの程度経営圧迫になるかどうかは分からないが、圧迫する場合は、国が責任を持って対応すればいい。日銀が役割を果たす場合も出てくるだろうし、政府がやる場合もあるだろう。いろんなバリュエーションがある」とした。
 モラトリアムの実現可能性については「実現させる。3党合意もしている。事務方にも勉強しろと指示した」とあくまで実現への意欲を強調。一部の銀行には公的資金が注入されていることを踏まえて、「貸し手が困ってるときは政府が国民の税金で(資本注入を)やる。借り手が困ってるときに返済猶予するのは当たり前。それがおかしいというのはバランス感覚がない」と述べた。

亀井大臣のモラトリアム制度はよく徳政令に例えられていますが、読みながら徳政令というよりは松平定信が寛政の改革でやった棄捐令に似てるなぁと思いました。

棄捐令 – Wikipedia
松平定信が寛政の改革の一環として発したのが最初で、「天明4年(1784年)以前の借金は債務免除とし、それ以後のものは利子を(これまでの年利18パーセントから3分の1の6パーセントに)下げ、永年賦(長期年賦)を申し付ける」という法令である。さらに以後の法定利率は、年利1割2分(12パーセント)にするとした。
(中略)
この法令により札差は大きな損害を受け、この結果旗本・御家人に対する貸付は行われなくなり、人心を不安に陥れるなど多くの弊害をもたらした。札差の一斉締め貸しは申合わせたように続き、中にはほとんど閉店同様の店もあった。棄捐令発布の翌年末(1790年)、武家の年越し資金の融資希望が増えてきても、経営が立ち行かず戸を閉め切ったままの店が多く、翌年(1791年)4月ごろには「別して困窮」の札差が17軒ほどあったと定信の御附人水野為長の日記にも記されている。ただし、札差株の価格は大いに下落したものの、廃業者が続出するような事はなかった。
棄捐令が発布された当初、札差から借金をしていた旗本・御家人や徳川御三家・御三卿付きの武士は大いに喜び、松平定信への感謝で湧きかえっていたと水野為長の日記に記されている。しかし、借金が出来なくなったことで生活に困り始めた旗本・御家人たちの不満が、年末が近づき物入りが多くなってくるにしたがって増大し、それに伴い棄捐令に対する不平が募ってきた。中には、追剥や盗人になる下級御家人まで現れた。

貸し手に対する公的資金の注入も。

猿屋町御貸付金会所 – Wikipedia
棄捐令を発布するに際して老中松平定信らが危惧したのが、かつて鎌倉幕府が永仁徳政令において、却って金融業者の反感を買って融資の道を絶たれた御家人が更なる貧窮に陥った事態の繰り返しを避けることであった。これに対して勘定奉行久世広民の提示した政策案は、江戸・京都・大坂の有力豪商らから資金を募って経営状態の良い有力な札差に会所を運営させて経営困難となった札差に年利一割で貸し付け、その利子収益を事務経費・運営手当・出資配当として1:1:8で分配するというものであった。この案は後に様々な変更を加えられる事になるが、会所設立の原案は久世広民により考えられたものである。
だが、江戸幕府が出資するか否かで意見がまとまらず、資金貸付けの規則が決まったのは、棄捐令発布の翌年寛政2年(1790年)2月のことであった。江戸の主要商人10名が勘定所御用達として主たる出資者となり(当初見送られた幕府からの支援も後には行われる)浅草御蔵近くの猿屋町に設置され、町年寄の樽屋与左衛門が運営責任者となった。そのため、樽屋御役所(たるやおやくしょ)とも称された。猿屋町に出来た役所は、間口30間(約55メートル)・奥行25間(約45メートル)の建物で、正しくは札差御改正会所という。会所の近くには御廻米納会所や札差会所の建物もあった。
会所では、経済的に困難に陥った札差に経営資金を融資したが、仲間の札差による連帯保証と旗本・御家人に対する貸出実績、元本以上の抵当設定などその審査は厳しかった。さらに、貸し出される資金は必要とする金額の40パーセントまでで、15ヶ年賦・年利6パーセントと定められた。幕府としては、札差が会所と旗本御家人の間の貸金仲介業者となってしまう事を望んではおらず、会所から札差に貸出される資金の貸下げはほとんどなかった。

寛政の改革はご存知の通り江戸幕府の財政をさらに逼迫させ江戸幕府の衰退に拍車をかけるだけに終わった訳ですが、江戸時代より遥かに複雑化した現代の経済情勢下で棄捐令的モラトリアム制度はどのような結果になるでしょうか?
個人的な意見としては、結局、公的資金注入するというのなら貸し手じゃなくて借り手に入れる方がまだましのような。返済を猶予させるよりも、期日までに返済が出来るように借り手を支援する方が市場の信用維持という点でまっとうな気がします。

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