最悪の悪漢とは

最悪の悪漢とは、真の姿の反対であるふりをする者たちだ。愛のふりをした憎しみ。美徳のふりをした悪徳。正義のふりをした不正。

アメリカの脚本家であり、また多くの脚本家を育てた映画創作の教授でもあるRobert McKeeの言葉。
映画や小説などでは、たとえば表向き高潔だが裏では汚職まみれの政治家、表向き慈善活動に熱心だが裏では武器の密輸を行う大富豪、表向き善良で優しい青年だが裏では次々と美女を惨殺するシリアルキラーなど様々なモチーフで登場する。
これが面白いのは、逆は真になりにくいところだ。悪のふりをした正義は確かに人間味があって魅力的なヒーローではあるが、最高の正義漢とはいいづらい。
現実社会では必ずしも意図して真の姿の反対であるふりをする者は多く無いだろう。多くの者たちは、悪徳もあれば美徳もあり、憎しみもあれば愛もあるし、不正の誘いに心揺らぎつつも正しいことをしようとして、その狭間で揺れ動く。
自身の悪徳や憎しみの心理に気がつかず、または見ないふりをしつつも悪徳と呼ばれる行為に手を染めていたり、あるいは表向きあらわれる美徳の大きさゆえに抑圧していた正反対の側面がコントロールできなくなり、手がつけられなくなっていったりする。
善であるがゆえに、自身の中の悪が肥大化して行く過程や、善であると思っていた自身の行動や振る舞いが実は悪であったと判明したときに直面する苦悩にこそ、人間らしさを感じるし、そういう変化の渦の中で、もがきながら一筋の光を見出すような物語に、ぼくは惹かれる。

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