最近読んだアメリカの宗教史・思想史関連本まとめ

ここ数カ月、アメリカの宗教史、思想史系の本をまとめ読みしています。ざっくりとですが全体像が把握できつつある感じではあるので、それらを踏まえて色々ブログ記事書きたいのですけれど、なかなか追いつかないので、とりあえず最近読んだアメリカの宗教、思想ざっくり把握本のまとめだけ。

原理主義とは何か―アメリカ、中東から日本まで (講談社現代新書)
小川 忠 講談社 売り上げランキング: 236483
おすすめ度の平均: 5.0

5 原理主義の克服を目指す。
5 いろいろ答えが得られます。
5 原理とは
5 原理主義入門必読書!

原理主義とは何かについての学説の整理から始まってイスラム教、キリスト教などアブラハムの宗教系の原理主義思想の歴史と展開、非アブラハムの宗教系でも起きている原理主義に類似した宗教ナショナリズムの状況などについて概観できるとても勉強になった本。第二章でアメリカのキリスト教原理主義の歴史と展開がシンプルにまとめられています。後半では水戸学、吉田松陰の思想の原理主義性や教派神道、戦中戦後の展開まで日本の原理主義的運動についても簡単に触れられているので、一冊でかなり美味しい。

アメリカの宗教右派 (中公新書ラクレ)
飯山 雅史 中央公論新社 売り上げランキング: 145222
おすすめ度の平均: 4.5

4 歴史的記述が参考になる
5 知られていないアメリカ
5 アメリカは宗教が作った?
4 アメリカと「宗教」
4 アメリカ現代史に新たな視点を提供してくれる

一冊まるごとピューリタンのアメリカへの到達から始まって各宗派の勃興、原理主義者とモダニストの対立、ニューライト、そして現代の宗教右派の隆盛までおよそ300年が新書サイズで概観できるお手軽な一冊。とくに90年代のパット・ロバートソンらが率いた最強の宗教右派組織クリスチャン・コアリションが共和党に影響を与え、また人々に浸透していったかあたりはかなり詳細でとてもおもしろいです。歴史的展開の全体像を把握する入門書として目を通すと良い感じ。

アメリカのキリスト教がわかる―ピューリタンからブッシュまで
大宮 有博 キリスト新聞社 売り上げランキング: 295978
おすすめ度の平均: 5.0

5 研究者による力作

上の「アメリカの宗教右派」は新聞記者の立場から特に宗教右派の展開について全体像を見た本なんですが、こちらはクリスチャンの立場からより幅広くアメリカのキリスト教史を概観した本。長老派など主流派についてや社会福音運動、海外布教の様子などが丁寧に解説されていて、センセーショナルではないけれど堅実で読み応えがあるので、読んでおくとより幅広い理解に繋がりそう。

宗教からよむ「アメリカ」 (講談社選書メチエ)
森 孝一 講談社 売り上げランキング: 17193
おすすめ度の平均: 5.0

5 アメリカの宗教事情知る好書
5 これを読まずしてアメリカを語るなかれ
5 目からウロコの1冊
5 アメリカを読み解く傑作
4 おおっ!

アメリカの宗教史でおさえておくべき一冊と評判の名著。アメリカのキリスト教史の第一人者ロバート・N・ペラーに師事した森先生がアメリカの”見えざる国教”についてそのルーツや現状を探り、論を展開して行く様子はとてもエキサイティング。特に1925年の進化論裁判の描写はドラマティックなんだけど、他にも人民寺院の集団自殺事件やブランチ・デビディアンが妄想の果てに武装、やはり集団自殺を遂げて行く様子なども興味深い。ユダヤ・キリスト教がアメリカのアイデンティティとしてどのような思想を形作っているかがわかる。

宗教に揺れるアメリカ―民主政治の背後にあるもの
蓮見 博昭 日本評論社 売り上げランキング: 392458
おすすめ度の平均: 4.0

5 アメリカの政治と宗教の関係を概観する入門書として最高
3 入門書としてはお勧めします

こちらは分厚い資料集的な一冊。アメリカのキリスト教と宗教の関係を考える上でのフレームワークから始まって、政教分離、宗教右派の支持状況、戦争観、文化戦争、さらに中絶、教育、同性愛など宗教上の様々な問題について統計データや判例、概要などが把握できるのでより詳しく勉強したいときにとても重宝します。

アメリカの原理主義 (集英社新書)
河野 博子 集英社 売り上げランキング: 229034
おすすめ度の平均: 5.0

5 「宗教右派」の概観を知る
5 タイトル通りの内容だがとても読みやすい
5 Bush政権の実態

こちらは宗教右派の2000年代、つまり今を丁寧に取材した一冊。特に様々な無名の原理主義や宗教保守思想寄りな人たちへのインタビューが行われていて、アメリカの普通の人たちが傾倒する宗教右派とは何か、がわかる。特に中絶手術を行った医師を狙撃して収監されている女性テロリストへのインタビューや、中絶問題に関して画期的な裁判となった原告女性が中絶賛成から中絶反対へと転向していく様子などは読み応えありすぎる。また、キリスト教のハルマゲドン思想を現代に当てはめて描かれたSF小説がアメリカでシリーズ12冊累計6千万部超の大ベストセラーになっているという事実もまた衝撃的。

見えないアメリカ (講談社現代新書)
渡辺 将人 講談社 売り上げランキング: 131445
おすすめ度の平均: 4.5

4 誤解されるアメリカ
4 民主党選挙本部アジア系集票担当の現場を経て著者が見たアメリカ政治の多様性
5 アメリカ二元主義の内情が良く分かる
4 「共和党」と「民主党」
4 日本からイメージしたアメリカ政治とは全く違う

民主党の選挙スタッフとして現地で働いた著者による、アメリカの保守とリベラルを巡る社会全体の動きを「都市」「南部」「宗教」「メディア」などテーマごとに興味深いエピソードをまじえて語られる一冊。特にサバービアが構成されていった過程とか、南部は60年代にいかにしてワシントンと分断されていったか、アメリカのメディアが世論を保守とリベラルの二極化にどれだけ影響したかといったことが丁寧に、リアルに描かれていてとても面白かった。ポピュリズムとは何か?ということも考えさせられたな。

アメリカ保守革命 (中公新書ラクレ)
中岡 望 中央公論新社 売り上げランキング: 340978
おすすめ度の平均: 4.0

5 アメリカの「理念」と「保守思想」
5 アメリカの二大政党について基本が見える一冊
5 良書
1 編集がだめ
4 映し出された激動のドラマ。

特に保守化に拍車がかかるアメリカですが、その保守主義はいかにして生まれ思想として洗練されていったか、その歴史的プロセスがきちんと整理された本。伝統主義とリバタリアンの合体、ネオコンの登場とその思想、レーガン革命の衝撃、クリントンとギングリッジの対立などなどこれ一冊でアメリカの保守主義とはなんぞや、というところの基礎は抑えられるんじゃないかと思ったりします。
とりあえず、こんな感じのえっと、何冊?8冊か、ざっくり読んだという報告エントリーでした。このあたりの8冊を読んで思ったのは「保守」と「リベラル」というのはアメリカの歴史に深く根付いた相反する、しかし一心同体の思想であってそれぞれに生まれるべくして生まれ、成熟し、そして激しく対立せざるを得ない状況に立っているのだなということです。その一方で完璧な保守主義者も完璧なリベラリストも存在しない、非実在青少年ならぬ非実在思想的な側面もあってそのような宙に浮いた状態でありながらも、しかし厳然と存在するというもののようでもあり、その非実在性故に根深い対立なのですね。このあたりもう少し深く勉強したいです。
ということで、これらの本を読んでアウトプットとしてこれまで書いたエントリーいくつか。
進化論教育は罪か?スコープス裁判と原理主義が変えたアメリカ
米国キリスト教社会の4つの戦争観
原理主義のイデオロギー・組織に関する9つの特徴
インドの宗教暴動は社会の緩やかな紐帯によって抑止される
三歩進んで大統領になったビル・クリントン
これからももういくつか関連した記事を書こうと思っています。アメリカの宗教・思想を理解することは日本の社会を理解するうえでとても重要だとおもいますので。

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