リバタリアンの9分類表とリバタリアニズム関連本・入門書まとめ

森村進著「自由はどこまで可能か=リバタリアニズム入門 (講談社現代新書)」によると、リバタリアニズムは「いかなる国家までを正当とみなすか」「諸個人の自由の尊重を正当化する根拠は何か」という二つの論点によって分類することができるという。
前者については
(1)アナルコ・キャピタリズム(市場アナーキズム)
国家の廃止を主張
(2)最小国家論
国家の役割を国防・裁判・治安・その他の公共財の供給、あるいはその一部だけに限定
(3)古典的自由主義
上記以外にある程度の福祉・サービス活動も行う小さな政府を主張
後者については
(1)自然権論
基本的な自由の権利、特に自己所有権に訴える
(2)帰結主義
自由を尊重する社会の方が結果として人々が幸福になるはずだと考える
(3)契約論
理性的な人々だったらリバタリアンな社会の原理に合意するはずだと考える
これらの分類を元に作成したのが以下の表です。
20100813_1729725
同書で紹介されているここに出てくる人達の代表作を列挙すると以下のとおりですが、僕は一冊も読んでいないです。とりあえず自分用にメモとして。ロック、ハイエク、M・フリードマンぐらいは読んでおかないとなぁとは思うんですが。

■自然権論的アナルコキャピタリズム
マレー・ロスバード

自由の倫理学―リバタリアニズムの理論体系
マリー ロスバード 勁草書房 売り上げランキング: 333981
おすすめ度の平均: 4.5

4 倫理的なリバタリアニズムの基礎付け
4 「国家」のない「社会」を考える思考実験としては面白いが……。
5 リバタリア二ズムの古典

■自然権論的最小国家論
ロバート・ノージック

アナーキー・国家・ユートピア―国家の正当性とその限界
ロバート・ノージック 木鐸社 売り上げランキング: 48139
おすすめ度の平均: 3.5

2 国家は存在してはいけない
5 国家は何をしてはいけないか

■自然権論的古典的自由主義
ジョン・ロック

統治論 (中公クラシックス)
ロック 中央公論新社 売り上げランキング: 132922
おすすめ度の平均: 5.0

5 古典中の古典

■帰結主義的アナルコ・キャピタルズム
デイヴィド・フリードマン

自由のためのメカニズム―アナルコ・キャピタリズムへの道案内
デイヴィド フリードマン 勁草書房 売り上げランキング: 563782
おすすめ度の平均: 5.0

5 過激な思想!
5 現代的アナーキズムの到達点
5 アナキズムはナップスター(あるいは著作権フリー)の夢を見るか?
4 確かにそうも考えられるが

竹内靖雄

国家と神の資本論
国家と神の資本論
posted with amazlet at 10.08.13
竹内 靖雄 講談社 売り上げランキング: 642899

■帰結主義的最小国家論
ランディ・バーネット

自由の構造 正義・法の支配
ランディ・E. バーネット 木鐸社 売り上げランキング: 552413

■帰結主義的古典的自由主義
ルートヴィヒ・フォン・ミーゼス

ヒューマン・アクション―人間行為の経済学
ルートヴィヒ・フォン・ミーゼス 春秋社 売り上げランキング: 307930
おすすめ度の平均: 5.0

5 おすすめ
5 読むべし

フリードリヒ・アウグスト・フォン・ハイエク

隷属への道 ハイエク全集 I-別巻 【新装版】
F.A. ハイエク 春秋社 売り上げランキング: 48560
おすすめ度の平均: 5.0

4 自由主義の古典的名著であり必読の書
5 自由と計画経済は両立しない
5 本当の自由主義
5 今も価値を失っていない主張
5 真の自由への道を求めるしかない

法と立法と自由I ハイエク全集 1-8 新版
ハイエク 春秋社 売り上げランキング: 282194

ミルトン・フリードマン

資本主義と自由 (日経BPクラシックス)
ミルトン・フリードマン 日経BP社 売り上げランキング: 1057
おすすめ度の平均: 4.5

5 資本主義が嫌いな人ほど読むべき
4 「政府の失敗」に全重量をかけた“論争の書”
4 孫vs池田信夫のUST前の予習としてうってつけの一冊
4 既にあちこち古く、一方で現代感覚でも過激な主張がちらほら、もっと批判があってもいいのでは
5 自由主義経済の本質を知る

■契約論的古典的自由主義
ジェイムズ・ブキャナン

自由の限界―人間と制度の経済学 (1977年)
J.M.ブキャナン 秀潤社 売り上げランキング: 1406547
おすすめ度の平均: 5.0

5 リヴァイアサンは耐えうるか

ディヴィッド・ゴディエ

合意による道徳
合意による道徳
posted with amazlet at 10.08.13
デイヴィド・ゴティエ 木鐸社 売り上げランキング: 613141

と、列挙してみるとわかるようにどれも高価かつ品薄で、手に取るのに敷居が高いですね。可能な範囲で原典は徐々に読んでいこうとは思っているのですが、その前段階としてとりあえず原典にあたる前に、これまでぼくがざっと読んだリバタリアニズム関連の入門書もあわせてまとめておきます。

森村進「自由はどこまで可能か=リバタリアニズム入門」

自由はどこまで可能か=リバタリアニズム入門 (講談社現代新書)
森村 進 講談社 売り上げランキング: 18461
おすすめ度の平均: 4.0

5 魅力的
3 「リバタリアンは」が多すぎる
5 いい
1 リバタリアンは一種の怪物である
5 リバタリアニズム=自由主義?

このエントリーを書くのにも参考にしたリバタリアニズム入門の定番書。「自己所有権」「自生的秩序」といった基礎用語はもちろん、リバタリアニズムが直面する様々な社会問題、疑問等をじっくり解いていてとても面白かったです。例えば、死刑廃止論、無体財産権はリバタリアニズムで正当化されるか、臓器売買の自由は認めるべきか、家族にいかなる地位を認めるか、など時に極端とも思える意見が論理的に出てくるあたり興味深いです。
仲正 昌樹「集中講義!アメリカ現代思想―リベラリズムの冒険」

集中講義!アメリカ現代思想―リベラリズムの冒険 (NHKブックス)
仲正 昌樹 日本放送出版協会 売り上げランキング: 27115
おすすめ度の平均: 4.5

4 現代アメリカにおける哲学・思想の諸潮流を俯瞰
3 自由と民主、をめぐるよい解説です
5 これまでに無かった「現代アメリカ政治哲学入門」
5 「現代」思想を通覧するに最新、最良のテキスト
5 アメリカの自由をめぐる思想家たちの格闘の歴史

こちらはアメリカ現代思想史を主にリベラリズムの立場から概説した名著。これはかなり良かった。特にリベラリズムvsリバタリアニズムvsコミュニタリアニズムの三つ巴の議論の対立軸を明確に整理しているので、それぞれの違いがすこんと理解出来ます。ハイエクvsエーリッヒ・フロムとか、ロールズvsノージックとか、あと最近人気のサンデルやウォルツァーらのコミュ二タリアンの意見についてもざっくり把握したい人にお薦め。
会田 弘継「追跡・アメリカの思想家たち」

追跡・アメリカの思想家たち (新潮選書)
会田 弘継 新潮社 売り上げランキング: 304247
おすすめ度の平均: 3.5

2 著者の能力不足による消化不良
4 多様な現代米国思想をジャーナリストの眼で描いた好著
5 ジャーナリストが描く思想

こちらはアメリカの、特に保守主義を中心とした11人の思想家の半生と主張を読み物風にまとめた一冊。リバタリアンで取り上げられるのはノージックで、彼が最小国家論を表す背景となる生い立ちや、その代表作「アナーキー、国家、ユートピア」をどう考えていたのかなどが著されています。またエピローグでハイエクについても触れられているので、思想家たちの生き様にスポットを当てた読み物としてとても面白いです。
中岡 望「アメリカ保守革命」

アメリカ保守革命 (中公新書ラクレ)
中岡 望 中央公論新社 売り上げランキング: 100993
おすすめ度の平均: 4.0

5 アメリカの「理念」と「保守思想」
5 アメリカの二大政党について基本が見える一冊
5 良書
1 編集がだめ
4 映し出された激動のドラマ。

レーガンに始まるアメリカの保守革命はどのような経緯で進んでいったのか、を丁寧に考察した一冊。特にリバタリアニズムが保守主義といかに結びついていったかは目からウロコでした。ラッセル・カークの伝統主義、ネオコンの思想体系、レーガノミックスやギングリッジとクリントンの対立あたりのドラマに興味がある人におすすめかな。
佐々木 毅「アメリカの保守とリベラル」

アメリカの保守とリベラル (講談社学術文庫)
佐々木 毅 講談社 売り上げランキング: 83937
おすすめ度の平均: 5.0

5 アメリカ政治の見取り図としてはわかりやすい
5 著者ならびに講談社さんに求められること
5 20年前の米国の混迷の現代日本を見る
5 アメリカ政治のイデオロギーをわかりやすく説く

こちらはアメリカ思想研究の古典らしいです。やはり戦後保守主義がいかに勃興し、また、アメリカのリベラリズムがいかに変容していったかがじっくりと描かれていて勉強になりました。第一章でミルトン・フリードマンなどが取り上げられてます。90年前後に書かれた本なので、日本特殊論やフランシス・フクヤマの「歴史の終わり」、ハンチントンの「文明の衝突」などを始めとする当時の思想状況がホットな話題として取り扱われているのも面白かったです。そのあたりの本のこと読むまで忘れてたよ・・・
デイヴィッド ボウツ「リバータリアニズム入門」

リバータリアニズム入門―現代アメリカの「民衆の保守思想」
デイヴィッド ボウツ 洋泉社 売り上げランキング: 183882

これは最初の方だけ読んだんですが、前半でリバタリアニズムがどのような歴史的経緯で誕生していったかが概説されていて良かったです。アダム・スミス、ロックなどの古典的自由主義者など前半部分は「自由」の歴史がざっくりと。リバタリアニズムと道教との類似についても指摘されていて重要ポイントだと思いました。著者のディヴィッド・ボウツはアメリカのリバタリアン系シンクタンクCATO研究所の副理事長。
以上のような感じで、今のところ入門書をかじった程度なのですが、徐々に各思想家の本を読んでいきつつ、やはり重要なのはリバタリアニズム、リベラリズム、コミュニタリアニズム、そして保守主義などの多様な思想との間の議論を見ていくことなのだと思うので、このような現代の思想体系について広く、深く勉強していければいいなと思っています。
自由というのは現代政治の大原則の一つなのですが、その自由という原則への執着の度合いと、自由の捉え方の違いが現代思想の対立点の一つになっているように思います。その自由というものを自分自身がどう考えていくのかは、今のうちにちゃんと向き合っておかないと、これから特に身動き取れなくなっていきそうな切迫感がありますね。そして、自由とともに平等、公平、共同体、権力、伝統、正義などなどの概念がぶつかり合いながら生まれるダイナミズムはよく注視したいです。
現時点ではリバタリアニズムも共感するところは多々あるものの、リバタリアニズムよりもリベラリズムの方に思想としては近しいものを感じていますが、わからないことの方が圧倒的に多いので、もっとよく学び、考えて行きたいと思います、という自分用メモとしてのリバタリアニズム関連本のまとめ記事でした。
近いうちにネオコン、コミュニタリアニズム、宗教右派についてもそれぞれ何か書くかも。
あとおまけ。この動画もケインズとハイエクの政策論争をラップ調にまとめていて楽しみつつ勉強になりました。以前話題になっていたのでいまさら感があるかもですが。

YouTube – ケインズvsハイエク

クセになるので注意です(笑)
解説はこちらのエントリーが詳しいです。
ケインズvs新自由主義論争を描いた分かりやすくて笑える映像 – My Life in MIT Sloan

スポンサーリンク
スポンサーリンク

フォローする

関連コンテンツ

スポンサーリンク
スポンサーリンク