タモリ「節操は無い方がいい。節操があると心が自由にならないから」

結構前にやっていたブラタモリの品川の回で、この回は神回と言っていい面白さだったんだけど、その最後にゲストの、散歩好きなら必読本な「東京の空間人類学 (ちくま学芸文庫)」の著者陣内秀信先生が品川はとてもバラエティに富んだ街だというコメントをし、それを受けてタモリさんが、「ほんと節操がない街だ」とビール片手に笑いながらこう続けていた。

「節操は無い方がいいですよ。節操を持ってるとね、心が自由にならないからね。」

このさらっと力が抜けつつも、ずばっと本質を突いたコメントがタモリ節って感じで心に残っている。

そうは言っても日常の世界では節操をなくす訳にもいかなくて、それは日常生活は社会の中に組み込まれているからですね。様々なしがらみの中で個々の一定の自由と社会の一定の秩序のトレードオフによって生きている。

そういう不自由さと共存することで安定を得る日常の世界の中では、個々の置かれた環境や甘受する不自由さの程度など決して一色ではない環境に左右されつつ、どうしても自由を希求するこころがふつふつと沸き上がってくる。その心の自由の置き場をどうするか、というのが生きていく中で必ず直面してしまう課題の一つなんですよね。

で、安定が秩序によって得られるのに対して、自由は混沌の中にある。その無節操の非日常の世界に足を踏み入れることによって、はじめて心の自由というのが可能になってくるんだと思う。その「心の自由」は自由であるがゆえに一人として同じかたちをしていない。一人ひとりがいかにして自分だけの非日常空間を見つけるか。それが心の自由を得ることになるんだと思う。で、非日常空間を形成する混沌というのは、最初に呼び水として陣内先生が言ったバラエティ、つまり多様性の世界なのだ。多様性の中にこそ自由がある。

一様でない多様な、一人ひとりの混沌の世界を見出すこと。それが健やかな日々を送るコツだと思うし、秩序か混沌か、という二元論の世界ではなく、日常の節操の世界の中に無節操な多様性が増えて共存していくことで、個々人が心のなかの自由をより感じられる社会になるんじゃないだろうか。
まぁ、とりあえず散歩は僕だけが足を踏み入れることのできる変化と多様性を体感できる心の自由の世界です。

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