宇多田ヒカルの10曲

宇多田ヒカル公式チャンネルが開設されたということで、あまり詳しくないんだけど、慣れ親しんだ宇多田さんの個人的ベスト10曲を選んでみた。
Automatic
Movin’ on without you
Addicted To You
鮮烈デビュー曲から間にバラードの「first Love」を挟んで間髪入れずの4連発はすごかった。とくにこの三曲は続けて聴くとそのグルーヴ感がすごいとおもう。
98年当時、僕は福岡の某レンタルショップで働いていたんだけど、最初は宇多田ヒカル?だれ?まだ14歳らしいよ、だったのが一気にブレイクしていって、Automaticは毎日のように追加注文されてランキング爆進。四曲とも店のランキングを席巻していってたのが懐かしく思い出されます。椎名林檎も同時期に登場。うおーやばいっすね、って話でもちきりだったですね。
宇多田ヒカル・椎名林檎の登場ってJ-POPのターニングポイントでしたね。98~2003年のJ-POPって一気に様変わりしていったとおもいます。
Can You Keep A Secret?
無茶は承知で言い切ってしまうと、最近の音楽市場を席巻する西野カナ・加藤ミリヤなどのいわゆるギャル演歌とどこか根底でつながってる一曲なんじゃないかと思ったりするんですよね。

近づきたいよ 君の理想に おとなしくなれない~伝えよう やめよう このまま隠そう 逃げ切れなくなるまで 信じよう だめだよ まだ疑えそうだもの

ギャル演歌ほどわかりやすくて直接的ではなく、すごく洗練されていて、明確に先駆けというわけでもないんだけど、その歌われている「あなたの理想へ近づきたい」という感覚世界はのちに女ゴコロのもどかしさを訴えるジャンルへとつながってそうな。
traveling
紀里谷和明監督によるサイケでポップなかわいいPVが話題だけど、歌われている世界はとても切なくて、そして破滅的。静かな怒りすら感じる。「もっと!揺らせ!壊したくなる衝動!
COLORS
宇多田ヒカルの最高傑作を選べと言われたらこれか、Prisoner Of Loveかで悩む。次から次へと色鮮やかなイメージが心の襞に絡みつきながら浮かんでは消え、最後に白と黒が残っていく様はまさに幽玄の世界で、J-POPで日本の基層文化を意図的か直観的かはわからないが、掘り下げて歌にしてしまうなんて宇多田さん天才、としか思えない。宇多田ヒカルの完成形の一つだとおもう。
Deep River

なぜ宇多田ヒカルは愛されるのか。
女性芸能人が決して逃れることの出来ない宿業として、いかにして多くの人々が心の中に抱く女性性(アニマ)を体現するか、ということがある(男性芸能人なら男性性(アニムス))。今、多くの人達が心の中に抱いているアニマ像の一つに、透明感というのがあり、それは古い女性性ではないがゆえに男性だけでなく女性も投影しやすい。その体現者の極が今人気の宮崎あおい&蒼井優なんだと思う。
で、宇多田ヒカルは何を投影し、そして体現しているのか、が実は曖昧なんだけど、親近感と母性の二面性なのかなとは思う。宇多田さんなら仲良くなれそうだ、宇多田さんとなら上手くやっていけそうだ的な意見をよく見かけるような。
で、そういう人々が心のなかに持つ女性性を投影させ、その体現者であるだけでなく、そこから非現実の世界へ、世俗と聖なる世界とを結びつける役割を担わなければならない。古くから芸能はそういう役割でありつづけてきたし、それは現代でも変わらない。つまり、ちょっと宗教がかった言い方するとシャーマンであることが求められる。
「Deep River」はシングルじゃなく同名のアルバムのタイトル曲だけど、描かれている世界はすごくスピリチュアリティに溢れている。

点と点をつなぐように
線を描く指がなぞるのは
私の来た道それとも行き先
線と線を結ぶ二人
やがてみんな海に辿り着き
ひとつになるから怖くないけれど
いくつもの河を流れ
わけも聞かずに
与えられた名前とともに
全てを受け入れるなんて
しなくていいよ
私たちの痛みが今 飛び立った

スピリチュアリティについては近いうちに詳しく書くつもりですが、簡単にいうと、「自分を超えた何かとつながっている感覚」で、特に近年、人々の間でそういう眼に見えない何かを求める傾向は強くなってきて、社会現象になりつつある。そういう多くの人達が心のなかで渇望する「目に見えない他者や超越性とリンクすること」を非常に感性豊かに鷲掴みにして、聖なる世界へといざなってくれている、という感覚は多くの人が持つんじゃないか。Deep riverの発表は2002年、その一年後の2003年にやはりスピリチュアリティの代名詞的な平原綾香の「jupiter」などがヒットしていく。そういうユーザーが静かに渇望した何かをいち早く掴んだのがこの曲。
で、「光」の方はその逆にぐっと世俗まで降りてきた感じのほがらかな曲で、楽しげに皿洗いする様子が微笑ましい。これはそういう宇多田ヒカルが体現する日常性そのものを歌っていて、それゆえに人気なんだとおもう。なんとなく見てたらたのしい気持ちになりますもんね。
Prisoner Of Love
休業宣言前最後のシングル「Prisoner Of Love」は、これ最高傑作なんじゃないか。地に足を付けて一歩一歩着実に生きていくという決意が伝わってくるし、それ以上に聴けば聴くほど曲の奥行きの広さ、深さが感じられる。ざっと振り返ってみれば、最初に挙げた4曲では意志以前的な自身ではどうにも出来ないこころの動きを歌い、徐々に感情を爆発させ、一つの作品世界を築き、多くの人達の想いの体現者としてみんなの願いを叶えんとするがように聖なる何かと繋がり、等身大の世界へと降りてきて、そして最後に一歩一歩自分の意志で歩んでいくという一つの人生が浮かび上がってくる。

人知れず辛い道を選ぶ
私を応援してくれる
あなただけを友と呼ぶ

宇多田ヒカルは宇多田ヒカルとして生きるために曲を作り続けてきたんだなというのがすごく伝わってきて、ちょっと感動的ですらありますね。
で最後の一曲は、もちろんこれ。
Goodbye Happiness
そのこれまでの歩みを自ら笑い飛ばすバイタリティに羨望の念を抱かずにはいられない。これ、かっこいいですよ。超リスペクト。
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