大河ドラマ「平清盛」雑感&出てほしい歴史上の人物9人

大河ドラマ「平清盛」が「保元の乱」まで終わってやっと面白くなってきはじめた。

今年の大河ドラマは好きな時代ということもあって前半から期待値を大きく上回っていた。退廃の、謀略渦巻く宮廷劇と血まみれになりながら上へとは進めない武士階級の閉塞感を豪華な俳優陣で見事に演じていて、群像劇としては一級品だと思いながら楽しく見ていた。悪左府最高っすね。

その一方で、主人公である清盛には少々うんざりさせられていた。この作品の清盛は白河院の御落胤で最有力武士である平忠盛の養子としてゆくゆくは一門を背負う立場として育てられながら、常識はずれな行動に出て周囲を振り回す、いわゆる「うつけ」として描かれていた。「うつけ」であるというのは良いとしても、どうみてもただのアホの子で、しかもどちらかというとうじうじとしていて、どうにも煮え切らない態度で、勢いだけはあるんだけど、むしろ勢いだけなキャラとして僕には映っていた。

将来を約束された、血筋もやんごとない名門武士の御曹司で、勢いはあるけど、決断力が大してあるわけではなく、おつむも若干足りなさげ、目立った活躍を見せるわけでもない、みたいな主人公が時代の変革者として天下取りを目指す話に感情移入するのはなかなか難しい。せめて、門地や血統だけではないその才能のきらめきの片鱗だけでもみせてくれないかなぁ、そうすればまだ、自分を納得させられるんだけど・・・などと思いつつも、なんだかんだ見続けられたのは彼が平清盛だったからだ。

退廃した貴族政治の中でのし上がり武力をもって政権を樹立して、海外貿易をおこなって財を築き、大天狗後白河院と苛烈な政争を繰り広げ、源氏の前に立ちはだかる巨大な壁清盛入道。中世史を代表する傑物。このアホなボンボンがゆくゆくはその清盛になるのだという無条件の信頼感だけが、見続けさせるパワーになっていたような気はする。作中の中井貴一さん演じる忠盛が無条件に清盛に信頼を寄せていたのと同様の感覚だったかな。こいつは、今はダメダメでもやがては必ず時代を変える大活躍をするはずだ!みたいな理屈じゃない信頼。

たぶん、大河ドラマ「平清盛」を最初から楽しんでみ続けている人というのは多かれ少なかれ「平清盛」という歴史上の存在に対する無条件の信頼を持っている人か、清盛は全く眼中になくて宮廷劇・群像劇を楽しんでいる人なんじゃないだろうか。まぁ、それゆえにこの作品のターゲットは限られてくるんじゃないかな。

で、ここ最近の清盛が家督を継いで表舞台に登場してきてからはまさに、その雌伏の時を耐えた視聴者に対するご褒美的な展開だと思う。うじうじせず、抜群の決断力で、貴族や武士たち相手に老獪に渡り歩く清盛に唐突に変身してきており、平清盛がついに始まった的な感慨がこみ上げる。やべー。保元の乱やべーって感じ。あと鎮西八郎為朝が出ると安心する。わーい保元の乱だーという感じで。流刑地でもぜひ大暴れしてほしいですね。

清盛の生涯的に、保元の乱までは彼を取り巻く事件や戦は特に大きなものは無いんだから、清盛側はもっと削って、ライバルの義朝が関東で勢力拡大する様子をもっと詳しく描けばよかったのに、とか思わないでもなかった。若き御曹司が舎弟と二人で血まみれになりながら、時にいいがかりをつけ、思うままに略奪し、いい面構えの猛者どもを次々従え勢力を拡大していく様をヤクザ映画顔負けの超熱い展開で描けば、どろどろの宮廷劇とのいいコントラストになっただろうし、義朝の自信を裏付ける説得力を与えることが出来ただろうと思うので、なんかもったいない気がした。

あと、かねてから西行を大河ドラマに、と思っていた身としては若き日から西行が出てきて嬉しい限りなんですが出家後はほぼ空気と化しているのが悲しい。もっとこう、庵で他の歌人とかと和歌を詠みあうシーンとか、奥州への旅も「行ってきましたー」だけじゃなく映像が欲しかったりですね。いっそ、旅人なんだからもっと関東の義朝のところに顔を出したかと思えば、奥州藤原氏と会って都の様子を伝えたり、西国出張中の清盛のところに遊びに行ったり、距離を考えない万能キャラとして扱ってもよさそうなのに。

あと、劇中の西行の歌「身を捨つる人はまことに捨つるかは捨てぬ人こそ捨つるなりけれ」は、あれ出家の時に詠ませていいんでしょうか。あの和歌って出家後に、なんか後悔の念に駆られてさびしい気持ちになった西行が、負け惜しみっぽく詠むから人間味があって良いんであって、出家時に詠んだらなんか嫌な奴じゃない?えー義清さんかんじわるーい、って印象になったんだけど。あのタイミングであの和歌聞かされた清盛はもう二、三発ぐらい殴っていい、とか思った。

さて、保元の乱も終わり、前半を支えた登場人物がほぼ全員退場するわけですが、やはりこの作品の魅力はその群像劇にあると思う訳で、ぜひ中盤以降を支えるキャラクターがたくさん出てきてほしいところです。ということで、個人的に出て来るとうれしいマイナーな人物を簡単にまとめ。

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■平家

やはり天下取りを狙う武将の家臣団は、強そう、有能そうな顔がずらっと揃っているところに説得力があると思うので、若手揃いの一門衆とは別に実力派俳優を配した出来る家臣団が登場してくることを期待したいです。マイナーで誰それレベルの歴史上の人物でもずらっと名だたる俳優が揃っていると圧巻じゃないですか。これで勝つる!ってオーラ出してほしいです。

飯富季貞(おぶ・すえさだ)

平家の侍大将。清和源氏出身で清盛の側近として頭角を現し、「鹿ケ谷の陰謀」事件以降平家の知行国の管理運営などの政務、兵糧の集積管理運用、兵士徴用訓練など兵站を中心に軍務を担当し、また平家に対する反乱の討伐など実戦でも力を発揮、平盛国とともに平家の屋台骨を支えた。平氏政権後期を代表する知勇兼備の武将。平家滅亡後は赦されて鎌倉幕府の御家人として生き残る。子孫に武田信玄の家臣として名高い飯富虎昌がいる。

平盛国がミッターマイヤー、源頼政がロイエンタール、平時忠がオーベルシュタインで、伊東忠清がビッテンフェルトだとするとこの人はさしずめメックリンガーあたりでしょうか(銀英伝脳)。平氏政権は各司令官は一門衆が就き、その下で実践指揮を執るのが有力御家人だったといいますが、その役割を担った平氏政権後期の筆頭クラスの人物がこの人。飯富の赤備えでお馴染みのあの人の御先祖様ということで、登場してくると色々萌えまする。若くて有能。谷原章介さんとか。

斉藤実盛(さいとう・さねもり)

武蔵国の武将。源義朝と源義賢両勢力の狭間で当初義朝、次に義賢に臣従したのち再度義朝・義平に仕える。義賢が義平に討ち取られた際は密かに遺児駒王丸(後の木曽義仲)を救出して逃がした。保元の乱・平治の乱と義朝の下で戦い、義朝死後は平家に臣従。関東の有力武将として重用され、生涯平家に忠義を尽くした。平維盛の後見役として頼朝挙兵時はその追討の任に当たる。寿永三年(一一八三)、木曽義仲討伐に老身をおして出陣、味方が総崩れとなる中一人奮戦し、討死した。最後は若々しく戦いたいと白髪を黒く染めて戦に臨み、かつての命の恩人を討ち取ったことに木曽義仲は号泣したという。

「平家物語」でも章を割いてわざわざその最期が描かれる人気者の一人ですね。老いて益々壮んな老将というのは琴線に触れまくりです。また、この人が迫力たっぷりに源氏の勇猛さを平家の公達たちに話聞かせたことから、水鳥の音にびびっちゃったという話も。ただ劇中大蔵合戦の駒王丸の話はスルーだったので出ないかも?キャスティングは竜雷太さんや辻萬長さんあたりがイメージ。

原田種直(はらだ・たねなお)

代々大宰府の軍事警察を統括してきた九州の有力武士団の当主。保元の乱後に清盛に臣従。平氏政権における日宋貿易の代行者として貢献し、「治承三年の政変」の際の京都の警護や、鎮西反乱、屋島の戦いや壇ノ浦の戦いなど源平合戦で活躍。平家滅亡後には一時幽閉されるが、後に赦されて鎌倉幕府の御家人となる。

日宋貿易の担当者ということで、作品のテーマ的にも清盛と貿易は重視されているようなので出るんじゃないかとは思うんですが、なんとなく兎丸がその役目を担ってこの人は割愛されそうな気もしないでもない。

城資永(じょう・すけなが)

越後の豪族。保元の乱以後清盛について活躍。越後守に任じられ北国の支配にあたっていた。木曽義仲の挙兵の際にはその討伐を任じられて越後・会津などで兵一万を集めるが出陣直前に急死。平氏政権における北方の要であったため、その急死は平氏政権に大打撃となった。

そこそこ頭も切れる勇将ポジション。まぁ出ないか、出ても義仲挙兵時に一瞬か。

■源氏

今でも三浦義明(菅田俊)、上総常澄(きたろう)などいい面構えの家臣団がいますが、ライバルも充実することで群像劇が引き立つと思うのでぜひ源氏も充実してほしいです。「保元の乱」で長田忠致が出てきてにやり。長田の美濃尾張(身の終わり)エピソードまでやってくれないかな。あと源氏は安達盛長が塚本高史さんで北条時政が遠藤憲一さんとのこと。弁慶はすでにトリックスター的に目立ってるしな。

河内経国(かわち・つねくに)

源義朝の父為義の兄義忠の子。母は平清盛の父忠盛の妹。義朝の後見人。源氏内の対立の調停役として保元の乱では為義と義朝の仲介を行い、保元の乱後は平氏と源氏の両者の血を引く者としてその間を取り持つため尽力。平治の乱に際して源平両勢力の対立を仲介してぎりぎりまで衝突回避に努めたが果たせず、平治の乱後に責任を感じて出家した。

両勢力の間で引き裂かれる苦労人ポジション。こういうキャラクターが出ると物語に深みが出るのでぜひ出てほしいところですが、どうも清盛、義朝とも個人的なつながりが強く描かれてきているので、この人はカットして直接のやり取りがなされていくのかも。六十代ぐらいの温和なベテラン俳優、例えば大出俊さんか、寺尾聰さん、もっと若くするなら光石研さんとか。

足立遠元(あだち・とおもと)

武蔵国の有力武士。平治の乱時点で義朝配下では鎌田正清に次ぐ官位(右馬允)で、最大の勢力を保持していたことから当時の義朝家臣団の中心人物であったと考えられている。平治の乱では源義平麾下の十七騎に数えられて活躍。源頼朝挙兵時にも参陣し、鎌倉幕府で要職を歴任。頼朝死後の有力御家人十三人による合議制にも名を連ね、有力武将が次々と粛清される中で生き残り、宿老として鎌倉幕府で重きをなした。

当時の源氏家臣団の主力人物なので出ると義朝陣営も充実してくる。安達盛長の年長の甥なので出るなら四〇前後ぐらいの俳優でひとつ。あ、義経の時忠や風林火山の大熊朝秀を演じた大橋悟郎さんなんかいいっすね。重みがあって。

■貴族

ちゃんとお歯黒してケガレにビビるなどある程度のリアルさを追求しているあたり貴族の描かれ方は好感度高いんですが、何気に徳大寺実能がモブ貴族扱いだったのが悲しい。屈指のやり手貴族なのに・・・ということで出るとうれしい貴族を二人ほど。

藤原経宗(ふじわら・の・つねむね)

姉が後白河帝の妃で皇太子守仁親王(後の二条天皇)の母であったことから保元の乱後に外戚として頭角を現す。二条天皇即位後は専横極める信西に対抗して藤原信頼、藤原成親、藤原惟方らと結びクーデターを敢行。信西を殺害して政権奪取すると、すぐに旗幟を変えて信西派の平清盛と内通。信頼、成親を裏切り平治の乱を勃発させ、政敵を滅ぼすことに成功した。だがその卑劣な振る舞いが後白河院の不興を買い、逮捕・拷問された上で失脚。しかし、朝廷は人材が枯渇しており、すぐに赦されて復帰すると、政権を握った平清盛に接近して政務に不慣れな平氏政権の助言役的立場を確保する一方で、後白河院にも取り入り諮問に積極的に答え、双方から信頼を得る。平家一門が都落ちすると平氏がついていた諸国の国司を院近臣にすべて変えるクーデターを敢行して後白河院政の復権を企図する。源義経と頼朝の対立が表面化すると後白河院に対して義経に頼朝追討の院宣を出すよう進言。義経死後、頼朝によって義経側についた貴族が次々失脚させられる中で責任追及を逃れて左大臣の地位に留まった。藤原摂関家没落後に後白河院の右腕として最後の貴族政治をリードしたタフな謀略家。

まぁ出ますよね。平治の乱の首謀者の一人だし。ただその後の活躍っぷりまで描かれるかは限りなく可能性が薄そう。主要キャストではなくモブ貴族Aぐらいのポジションで落ち着きそうな気がします。昔の大河「義経」でヒラミキ先生の後白河院を支える陰謀トリオが大好きだったので、ぜひそのノリで松田翔太さんの後白河院を支える謀略家っぷりが見られるとうれしいんですが。陰謀が似合う貴族ということで篠井英介さんあたりか、いっそ片岡鶴太郎さんとか。いや清盛より年下だけど、まぁ大河ドラマはその辺の実年齢は気にしない方向で・・・

藤原俊成(ふじわら・の・としなり)

平安時代後期~鎌倉時代初期を代表する歌人、政治家。藤原定家の父。「千載和歌集」の編者として知られる。清盛の弟平忠度の和歌の師としても知られ、平家都落ちの際、忠度が俊成の元を訪れて和歌を託したエピソードは名高い。彼が編纂した「千載和歌集」には崇徳院、待賢門院堀河、西行ら同時代人の代表作が収められている。また、彼の子定家の才能に最初に気がついたのは西行であるとも言われ、同時代人の間で広い交流を持っていた。

一服の清涼剤的なポジションで西行や堀河局(りょう)とほのぼの和歌詠んでるシーンがあるといいっすね。西行が定家(何故か美形ショタキャストで)の才能を見出すシーンとかあると女性ファンが食いつくと思われます。俊成のキャスティングは例えば沢村一樹さんあたり。

■その他

藤原秀衡(ふじわら・の・ひでひら)

奥州藤原氏当主。東北地方一帯に祖父、父から受け継いだ勢力を拡大して全盛期を築いた北方の雄。十七万騎ともよばれる強大な軍事力をもち、金や馬の産地として、また大陸貿易によって財をなし、平泉文化と呼ばれる当時を代表する豪華な文化を形成した。朝廷に対し次々と献物を送って影響力を誇示していたという。源義経の庇護者でもあった。

特に清盛と直接の絡みは無いと思うんですが、当時の清盛の先駆者的なポジションになるので、ある種の目標でありライバルであり盟友みたいなポジションで描かれたりすると良さげ。西行が奥州に旅したって話を清盛にしていたエピソードがあったけど、その時に西行が会ったことにして父の基衡とセットで出してたら良かったのに、と思ったりも。もし前半で出てたら清盛が言っている「新しき国」の具体例をかなり早いうちに視聴者に提示出来てたので、なんか出さないのはもったいないと思った。まぁせいぜい数回しかでないんだし、どーんと基衡を夏八木勲さんあたり、秀衡は北村一輝さんかいっそ佐藤浩市さんで豪華に、こいつらには勝てねぇオーラが欲しいです。

ということで、清盛の今後を考えると大御所、ベテラン俳優成分が足りないので、この人物たちじゃなくてもがっつりとベテランお願いしたいです。おっさん補給したいです。面白くなっていきそうなので、断念することなく今後も見続けられそうだと思います。はい。

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