主権者の一員としての政治研究の義務

自由な国家の市民として生まれ、しかも主権者の一員として、わたしの発言が公けの政治に、いかにわずかの力しかもちえないにせよ、投票権をもつということだけで、わたしは政治研究の義務を十分課せられるのである。幸いにも、わたしは、もろもろの政府について考えめぐらす度ごとに、自分の研究のうちに、わたしの国の政府を愛する新たな理由を常に見出すのだ。

ジャン・ジャック・ルソー
桑原武夫・前川貞次郎訳「社会契約論 (岩波文庫)」(P14)

差し当たって不勉強なせいで「わたしの国の政府を愛する」積極的な理由をなかなか見いだせずにいるのだが、それでもそれを理由として政府を、あるいは政体そのものを呪ったり憎んだり怒りを向けたりしようとは思わないし、それに与するつもりもない。日和見といわれればそうなのかもしれないが、むしろ、政府機能そのものが不全に陥っている現状をよく理解したいという思いの方がはるかに強い。誰に課されるでもなく、いつの間にか、自然と「政治研究の義務」を果たしていきたいと思うようになっている自分を発見しており、それが不思議といえば不思議な気分ではある。

政府とはいわずとも、様々な機能を総合した日本の政体そのものに対する信頼を僕はかなり強く持っており、ノスタルジックな復古主義にもユートピア主義にも傾倒をすることなく、政体の変更ではなく、今直面する一つ一つの課題を個々に解決していくことで、その人々の間に芽生える呪いや憎しみを融かしていくことができれば良いのだが、その個々の課題を解決する前提となる全体像を描けずにいることで、僕自身、あるいはもしかすると社会全体が袋小路にあるのではないか、という疑念を拭えずにいる。それを解決に導く一刀両断する力が欲しいという願いが、「われわれ」の化身としての強いリーダーを創出させ、「維新」の希求へと繋がっていく善意で舗装された道になるのだろう。

岐路は近づきつつあるという自覚の上で、いわゆる「主権者の一員として」、「政治研究の義務」を果たし、「自分の研究のうちに、わたしの国の政府を愛する新たな理由を常に見出」していきたいと思う、というとりとめもないメモ。

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