公共の利益を理由とした背信と殺人の正当化についてのバークの批判

『公的な恩沢を掲げて背信と殺人を正当化するうちに、やがては、この公的な恩恵が単なる口実になって、背信と殺人が目的となる。やがては、強奪、悪意や報復、さらには報復以上に由々しいそれらへの恐怖心が、彼らの倦くなき欲心を満足させるに至る。これこそは、これら人間の権利の凱旋行進の光輝に溺れて一切の善悪の自然感情を見失ったことの結果に他ならない。』

中野好之 訳「フランス革命についての省察〈上〉 (岩波文庫)」P150

保守主義思想の父として名高いバークが二百数十年前に痛烈に批判したその振る舞いを、主に保守を自任する人々が率先して行おうとする姿は喜劇と言うには余りにも残酷で笑えない、と思う今日この頃だが、バーク的な保守というのは米国でラッセル・カーク的保守が保守本流の地位を新保守主義に取って代わられたように断絶して久しい・・・というか、そもそも日本では受け継いですらいない、ということを考えれば、同じ「保守」と言ってもその実全く別物の何か――「リベラル」と呼ばれるものが全くもってリベラルでもなんでもないように――であり、バークを引っ張り出すのは見当はずれなのかもしれない。

という訳で、バークがフランス革命の狂熱を批判した一文を、保守とか革新といった党派性を対象として括るのではなく、一般論的な警句として紹介、ということで。

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