オルテガ・イ・ガセットによる自由主義の擁護

『政治において、最も高度な共存への意志を示したのは自由主義的デモクラシーであった。自由主義的デモクラシーは、隣人を尊重する決意を極端にまで発揮したものであり、「間接行動」の典型である。自由主義は、政治権利の原則であり、社会的権力は全能であるにもかかわらずその原則に従って自分を制限し、自分を犠牲にしてまでも、自分が支配している国家の中に、その社会的権力、つまり、最も強い人々、大多数の人々と同じ考え方も感じ方もしない人々が生きていける場所を残すよう努めるのである。自由主義とは至上の寛容さなのである。われわれはこのことを特に今日忘れてはならない。

(オルテガ・イ・ガセット「大衆の反逆」P107)』

「われわれはこのことを特に今日忘れてはならない」「われわれはこのことを特に今日忘れてはならない」大事な事なので二回(以下略・・・

オルテガ・イ・ガセット(一八八三~一九五五)は一九二九年、著作「大衆の反逆」の中の小論「大衆はなぜすべてのことに干渉するのか、しかも彼らはなぜ暴力的にのみ干渉するのか」で、ファシズムやサンディカリズムの台頭に対して自由主義的民主主義を擁護してこう書いている。「間接行動」とは、暴力を最後の手段と考える従来の秩序を逆転し「暴力を最初の手段、いやさらに正確にいえば、唯一の手段と宣言」して「いっさいの規則の廃棄を提案する」規範である「直接行動」に対置する「市民なる概念の中にその本来の起源」をもつ「共存を可能たらしめようとする」規範である。

このように自由主義の寛容さ、弱い人々や少数派との共存の重要性を謳いあげつつも、それが困難な試みであるがゆえに大衆が「それを破棄しようと決心したとしても別に驚くにはあたらない」と当時の自由主義・民主主義が脅かされる状況が生み出されている理由を分析している。

『敵と共存する!反対者と共に政治を行う!かかる愛は、もはや理解されえないものになり始めているのではなかろうか。』(P107-108)

ちなみにオルテガは「保守主義者」の代表的人物の一人として名前が挙げられることが多い、ということは明記しておいた方が良さそうだ。

大衆の反逆 (ちくま学芸文庫)
オルテガ・イ ガセット
筑摩書房
売り上げランキング: 8,918
スポンサーリンク
スポンサーリンク

フォローする

関連コンテンツ

スポンサーリンク
スポンサーリンク