「日本人の英語」マーク・ピーターセン 著

日本人の英語 (岩波新書)
マーク・ピーターセン
岩波書店
売り上げランキング: 256

一九八八年の初版からもう四半世紀売れ続けている英文法入門本のロングセラー。英語を苦手とする初学者の僕にはとても勉強になる本だった。まぁ一度読んだだけではよくわかっていないことの方が多いので繰り返し読みたい。

著者マーク・ピーターセンによると、彼が日本で教鞭をとる過程で見掛ける『日本人の英文のミスの中で、意思伝達上大きな障害となるもの』(P7)を重要度順にならべると以下の六つの項目になるという。

1. 冠詞と数、a、the、複数、単数などの意識の問題。ここに英語の論理の心があり、観念の上では、この二つ(冠詞と数)を別々に考慮することは不可能に近い。
2. 前置詞句。英語には前置詞(to、at、in、on、about、aroundなど)がきわめて多いので、それによって非常に微細な区別がつけられるが、その反面、トラブルメーカーになりやすい。
3. Tense。文法の「時制」。日本語には、時制に代わりに「相」(aspect)というのがあり、tense自体がないというところからさまざまな奇妙な英語が生ずる。
4. 関係代名詞。that、whichなど。用法は完全に論理的で、基本的には使いやすい品詞。
5. 受動態。論文に目立つ受動態の使い過ぎの問題を考えてみる。
6. 論理関係を表す言葉。これには因果関係を表す言葉(consequently、becauseなど)から、もっと微妙な関係を表わす言葉(thereby、accordinglyなど)まで、英語にも日本語と同じく非常に豊富にあるが、英語と日本語の感覚の違いから使い方にも問題が出てくる。

同書ではおよそこの順番に不定冠詞、定冠詞、単数と複数、前置詞、関係詞、受動態と能動態などの論理構造やその観念的土台となる見方をわかりやすい例文を出しながら丁寧に解説されていく。英語の世界にどっぷりはまって英語で”I hate English!”と叫んでしまうぐらい英語の「頭脳環境」に入ることを著者は薦めているが、なかなか、なかなかそれは難しい。

例えば不定冠詞である。「名詞にaをつける」というのは間違い。思考プロセスで考えると不定冠詞aの有無がまず先にあって、それにふさわしい名詞がついてくる、ということになる。

例えば食べたものとして伝えたいものが、一つの形の決まった、単位性をもつ物なら
I ate a ~(hot dog、sandwichなど)
そうではなく単位性を持たない、決まった形をもたない、材料的な物であれば
I ate ~(meat、riceなど)

『つまり、aというのは、その有無が一つの論理的プロセスの根幹となるものであって、名詞につくアクセサリーのようなものではないのである。』(P13)

英語に堪能な人は日本でもかなり多くいるだろうから、多くの人々にとってはほぼ当たり前になっている思考だと思うのだけど、初学者の僕にはここだけですでに思考法として目から鱗だった。

このように丁寧に「日本人の英語」という固定観念を丁寧に英語的な「頭脳環境」から解きほぐして行ってくれるので、二〇〇ページ弱と新書としてもコンパクトな部類に入る厚さだがとても勉強になる。初学者には良い入門として、英語にある程度慣れてきた多くの人には復習として良い本ではないだろうか。

ちなみに続編「続・日本人の英語 (岩波新書)」も同様にロングセラーになっているので、あわせて読みたい。

日本人の英語 (岩波新書)
マーク・ピーターセン
岩波書店
売り上げランキング: 256

続・日本人の英語 (岩波新書)
マーク ピーターセン
岩波書店
売り上げランキング: 1583

心にとどく英語 (岩波新書)
マーク ピーターセン
岩波書店
売り上げランキング: 10684
スポンサーリンク
スポンサーリンク

フォローする

関連コンテンツ

スポンサーリンク
スポンサーリンク