もし織田家臣団が美少女軍団だったら?「織田信奈の野望」感想

高校生相良義晴が現代から戦国時代にタイム・スリップすると、そこは若い美少女達が姫武将として覇を競うパラレル・ワールドだった、という戦国武将女体化ライトノベルのアニメ化作品。楽しかった。

一話冒頭、主人公相良義晴の前で足軽の木下藤吉郎(後の豊臣秀吉)が戦死するところから話は始まる。彼に代わって織田家に仕官すると織田信長は金髪の美少女織田信奈で、さらに彼女に仕える織田家臣団も多くが美少女達だった、ということで相良義晴はサがらよしはルで「サル」と渾名され、戦国シュミレーションゲームの知識を生かして活躍していく。

歴史上の人物の美少女化と言うのは意外と難しい。アニメ的に美少女であり続けるには、歳をとってはいけないからだ。この作品では木下藤吉郎(相良義晴)の仕官から比叡山焼き討ちまで史実であれば十五年余りの期間に起きた事件が描かれていくが、アニメ内での実際の時間経過は明らかにされていない。劇中、信奈が人間二十年~と敦盛を歌うシーンがあるので、おそらく二十歳前後の設定だろうが、その若いまま、せいぜい数ヵ月ぐらいの間に様々な事件が起きていることのようでもある。歳をとらせず、しかし史実の事件を解釈し直して、戦国時代を舞台にしたドラマとして組み直されているところが意外と上手くて構成の妙として面白い。

また戦闘描写はかなり気合入っている。同時期に放映された「じょしらく」は『女の子の可愛さをお楽しみ頂くため邪魔にならない程度の差し障りのない会話をお楽しみいただくアニメです』と謳っていたが、こちらは『女の子の可愛さをお楽しみいただくために全力で戦闘シーンをお楽しみいただくアニメです』とでも言うべきか。駆け抜ける騎馬隊、闇夜を切り裂いて降り注ぐ火矢、派手に見せつける殺陣など歴史ファンや大河ドラマファンでも充分に堪能できると思う。

そして萌えアニメなので、とにかく姫武将たちが可愛い&美しい。織田家臣団で女性になっているのは織田信奈をはじめとして柴田勝家、丹羽長秀、明智光秀、前田利家、竹中半兵衛、蜂須賀正勝(五右衛門)、池田恒興、佐々成政、松永久秀など。特に丹羽長秀の美しさといったらもう。突っ走る信奈を上手く支え、織田家の柱石として次々と手を打つ有能さは史実の丹羽長秀ファンとしてもうれしい限り。桶狭間で華麗に槍を振るう姿と言い、後半一人敵陣に突っ込む信奈に動揺しつつもすぐに臨機応変に対応して全軍連携して攻めろ、と指示を出す的確な用兵といい、むしろ勝家が筆頭家老になる将来が見えない(笑)。

光秀の生真面目なのに小賢しい感じとかも可愛いし、織田家臣団でダークサイドを一手に引き受ける松永久秀も魅力的。幼女な竹中半兵衛を実はロリコン親父な斎藤義龍が手籠めにしようとして結果稲葉山城を半兵衛が制圧するところとか脱力展開過ぎて笑えた。あと誰とは言わないが男装の麗人っぷりがいいすねぇ。この声優さんは他の作品では女装の男性を同時期に演じていて、トランスジェンダーな役柄を得意とされているのかしら。

戦国時代を舞台にしてはいるものの、細かい歴史考証はほぼスルーされているのでそのあたりに突っ込みを入れるのは野暮でもあるし、その一方でこの作品の楽しみ方の一つとも言えると思う。狙撃する火縄銃に何故かスコープがついていたり、何故か甲冑の上から巨乳が揺れたり、たこ焼き対決があったり、信奈の正装が振袖(振袖の登場は江戸時代後期)だったり、夢の中での結婚式シーンが現代の欧風結婚式だったりと突っ込みどころは数えきれない。まぁ、そのあたりは笑って済ませるのが楽しみ方のコツですよねぇ。

ところでそんな歴史ネタとして、劇中、金ヶ崎退き口と呼ばれる熾烈な撤退戦が描かれるが、このときサルが信奈に「生きて還ったらキスさせろ」といい信奈が「キス?ああ接吻のこと?」と答えるシーンがある。実は接吻も江戸時代に登場した言葉だった。一八三三年のオランダ語翻訳書「ドゥーフ・ハルマ(道訳法児馬)」が初出で、このときは接吻に”あまくち”とルビがふられ、のち明治時代にキスの訳語として”せっぷん”と呼ばれることになる。それ以前は何と呼んでいたかと言うと「口吸い(くちすい)」である。ということで、「口吸い」と言う言葉がもつ性的なイメージを考慮するなら、ここは敢えて史実を踏まえ、信奈には「口吸い」と言わせる方が萌えアニメ演出的に正しい気がしないでもない。

おっさんがかっこいいアニメは名作、という法則があるかは知らないが男性キャラたちが姫武将たちに負けず劣らず良い味を出している。前野長康をはじめとする川並衆の男気や斎藤道三の親父っぷり、またこれまで歴史ドラマでは凡将・愚将としてしか描かれなかった朝倉義景が何故か薔薇とワインを愛するイケメンナルシストの知略家として描かれているのも見どころ。あと近衛前久のいけすかない貴族な悪役っぷりも楽しい。地味に見せ場があった稲葉一鉄、氏家卜全、安藤守就の美濃三人衆もよかった。

また朝倉家臣の真柄直隆・直澄兄弟(劇中では女性化して姉妹)など歴史上それほど有名ではない武将を活躍させていたり、どことなく宮下栄樹の「センゴク」を彷彿とさせたりもする。鳥居景近とか出たらセンゴクファン的に歓喜。

題材が題材だけに語り始めたら止まらない勢いになってしまうのだが、突っ込みどころ満載、適度にゆるく、決して傑作とか名作とか今季ベストとかいう訳ではないが、エンターテイメントとして抜群に楽しめるつくりになっていて、あー楽しかった、という感想で締めくくれる作品だった。

あと、最後に一言。

「戦国時代でも生き残れる。そう、iphoneならね。」

動画配信
織田信奈の野望 [最新話無料] – ニコニコチャンネル
「織田信奈の野望」 | 【アニメ】はバンダイチャンネル

参考サイト
「織田信奈の野望」スペシャルサイト
「接吻」の語源を教えてください。 – Yahoo!知恵袋
ドゥーフ・ハルマ – Wikipedia

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