脇町の庚申塔と三崎道・浦賀道分岐路、七桶の伝説

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脇町の庚申塔

脇町の庚申塔

逗子市渚橋交差点から葉山御用邸前の交差点までを海岸沿いにつなぐ県道207号線は通称森戸海岸線と呼ばれる。その森戸海岸線沿い清浄寺バス停と元町バス停の間に庚申塔・道標が集められて祀られた一角がある。

この中の奥の列中央の庚申塔は道標もかねたもので、右側面には「右みさ起みち」左側面には「左うらがみち」と彫られ、かつてはこの一角より海沿いに下った付近に建てられていたものだという。この道標には「明和九年辰五月吉祥日」(一七七二年)とある。

右みさきみち

右みさきみち

左うらがみち

左うらがみち

だが、この道標が建てられていたであろう葉山付近で分岐する街道三崎道と浦賀道の分岐点の場所が不明で、またこの道標がもともとどこにあったのかは不明であった。郷土史家たちの調査・研究によると三崎道は森戸海岸沿いを通っており、古地図等から、この現在の「脇町の庚申塔」の場所から海側に下ったあたりであったと推定されている。

森戸海岸沿い三崎道(推定)

森戸海岸沿い三崎道(推定)

この森戸海岸の砂浜沿いに三浦半島西岸をつなぐ街道三崎道があったとされている。

三崎道と浦賀道分岐路(推定)

三崎道と浦賀道分岐路(推定)

この近くに非公開の七桶地蔵が祀られたお堂があり、そのすぐそばである丁度この森戸海岸北側入り口付近が推定の分岐点とされている。

浦賀道(推定)

浦賀道(推定)

そしてその分岐点から住宅街に入り、県道207号へと繋がる小道が、三浦半島中央を横断して大津で東回り浦賀道と合流、浦賀へ至る西回り浦賀道と推定されている。ここで分岐した浦賀道は現在の葉山元町交差点で県道207号が分岐するのとほぼ同じルートで仙元山方向へ長徳寺を左手に眺めつつ進み、牛ヶ谷、一色、上山口、木古庭を抜けて横須賀大津へと進んでいく。

葉山が古くから交通の要衝でもあったことがよくわかる。

また、この分岐点近くの七桶地蔵堂は普段非公開のためその詳細は不明なのだが、創建年代不詳、仏像の製作年代も不詳、その由緒も不詳と謎が多い。現在の旧七桶島防波堤付近まで陸続きで七桶島に七桶寺があり、その地蔵堂が現在の七桶地蔵堂であったという。地蔵菩薩坐像と地蔵菩薩立像があるとのことだ。かつてあった七桶寺の本尊も地蔵菩薩で海中から上がったものが祀られたとされるが、それが現在の七桶地蔵堂に安置されているものかも不明である。

地蔵堂であろうとみられる建物は現地で確認済みだが、何ら宗教的な装飾も案内板も無く一見民家のように見えた。郷土資料などを図書館で当たってみても、七桶地蔵とされる地蔵の写真は小さいものを見つけたが、地蔵堂そのものの写真は見つからなかった。単に資料が少ないだけかもしれないが、地域で何かしら秘されているようでもある。以上のような点である種のタブーのようなものも感じたので、敢えて地蔵堂の写真は撮っていない。

旧七桶島防波堤

旧七桶島防波堤

その旧七桶島だが、大正六年(一九一七)の台風で島も寺もほとんどが崩壊し、現在は防波堤として生まれ変わっている。一九七六年、防波堤に当時の町長の句と、七桶に伝わる大蛸の伝説が刻まれた碑が設置されたが現在は風化して文字は読めない状態であるという。写真の防波堤真ん中付近にある石版がそれである。

その大蛸の伝説は以下のようなものだ。

『昔、この七桶の付近に欲の深いお婆さんがいた。某日、海に出ると島に大きなタコがおり、急いで足を一本切って家に持ち帰ると桶一ぱいに成るほど大きな足だったが、家の人にも内緒にして、次の日も次の日も足を一本ずつ切り取り、桶に七はいの七本の足を切ってしまい、とうとう最後の一本を切る日になって島へ行くと、突然タコがあばれ出して八本目の大足に巻かれて海中に引きずり込まれ、そのまま殺されてしまったという。』

これが七桶という名の由来である。『其の霊域の殺生を戒めた民話』であるとも言われる。現在は七桶寺の跡は無く、この伝承も葉山の郷土史資料の中にしか残っていない。

参考書籍・サイト
・葉山郷土史研究会編著「郷土誌葉山第3号」P30-33「三崎みちと浦賀みちの分岐点を探る」
・葉山郷土史研究会編著「郷土誌葉山第8号」P6「相州三浦郡堀之内村絵図(安永2・1773)」
・葉山郷土史研究会編著「郷土誌葉山第8号」P31「地蔵信仰と堀内の寺々」
・葉山郷土史研究会編著「郷土誌葉山第8号」P92「七桶」
三浦半島の歴史 P8

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脇町の庚申塔

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三崎道・浦賀道分岐点(推定)

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