葉山一色の森山神社と玉蔵院

スポンサーリンク
スポンサーリンク

森山神社

森山神社

前回紹介した大峰山(三ヶ岡山)の南側の麓付近に位置する、森戸神社とともに、葉山を代表する神社である。伝承では天平勝宝元年(七四九)創建と言われ、千三百年近い歴史を誇る古社だ。古くは隣接する寺院玉蔵院とともに大峰山の山頂付近にあり、葉山の山岳信仰・修験道の中心であったとされる。大峰山をご神体としてこの神社を創建したのが東大寺の初代別当である良弁僧正であるという。

但し、この創建年代は三浦古尋録という文献を元に、当社では三三年ごとの祭りが神事としてあり、その札が一八一二年時点で三四枚あると記録されており、かつ実際は数えの三二年ごとであるとして計算した場合、初回の祭りが七四八年または七四九年になることから逆算して算出されたものだが、実際記録に現われるのは天正一九年(一五九一)に徳川家康が森山神社に三石の朱印地を寄進したものが初出になる。神社仏閣にはよくあることではあるが、創建が良弁という超ビッグネームではあるし、由緒の信憑性は若干薄いと言えるのかもしれない。とはいえ、葉山でもかなりの歴史を持つ代表的神社であることは間違いない。

森山神社拝殿

森山神社拝殿

祭神は奇稲田姫、天照大神、日本武尊だが元々は隣の玉蔵院とともに、あわせて世計大明神、佐賀岡(三ヶ岡)大明神とされていた。大峰山山頂から現在地に移ったのは天明元年(一七八一)、中興の祖とされる玉?(ギョクバン)僧正によるという。

神明神社

神明神社

船玉神社

船玉神社

境内には末社として伊勢神宮の分祀である神明神社、住吉大社の分祀である船玉神社のほか、金毘羅神社、浅間神社等がある。
毎年の例大祭のときに行われるのが世計神事とよばれる儀式で、近くの滝の坂不動尊の井戸から汲んだ霊水を神饌の米やお神酒などとともに森山神社に運び、その霊水を漆塗の壺に麦麹とともに満杯になるまで計って入れ、一年間保管して、保管後の減り具合によって天候や農作物の豊凶を占うというもの。毎年八月に行われている。

また三十三年ごとに行われる祭り行会祭は逗子市小坪の天王社から祭神素戔嗚尊を乗せた神輿が森山神社に七日間滞在するというもので、記録では創建以来行われている祭りだとされている。直近では一九九六年に開催された。

森山神社境内

森山神社境内

一色会館

一色会館

この神社で特徴的なのが拝殿へと登る傾斜がアリーナ状に整備されていることだ。その先に一色会館という建物がある。一色会館は昭和三十二年(一九五七)、境内の傾斜を観客席にして舞台として使える建物として建てられた。これは昭和三九年の例大祭を前に興行や貸し出しに使える建物を作ることで社殿の整備費用を捻出する目的で建てられたのだという。その甲斐あって社殿は新設され、半世紀経った現在でも地元のイベントスペースとしてよく利用されているようだ。

毎年四月~五月に葉山町を挙げて行われる「葉山芸術祭」ではインディーズミュージシャンたちが集まりライブ会場としても使われているらしい。地域コミュニティの中心として今でも機能しているというのは神社という施設の歴史を考えれば非常に神社らしい神社だとも言えると思う。

葉山芸術祭の森山神社でのライブの様子

葉山芸術祭青空アート市の様子

玉蔵院

玉蔵院

森山神社と隣接する真言宗高野山派の寺院。森山神社と同じく良弁による開基と伝わり、同様にかつては大峰山の山頂にあったという。本尊は大日如来、脇侍に西観音菩薩と不動明王。また、湘南七福神の一つとして恵比寿天も祀られている。

玉蔵院本堂

玉蔵院本堂

熊野三社

熊野三社

山頂にあったころは何らか修験道・山岳信仰の中心であったと考えられているがその跡はほとんど残っておらず、辛うじて熊野三社権現を祀ったこの小さな祠がそれとのつながりを示唆するにとどまっている。

宝篋印塔

宝篋印塔

境内の宝篋印塔は宝永四年(一七七五)に造立された仏塔で高さ三メートル九〇センチと大きなものだ。宝篋印塔は宝篋印陀羅尼を中に納めた塔でその陀羅尼(真言)は読むことで罪障を消滅させ災難から逃れることが出来るとされる。地元ではこの塔は「ほうき星さま」と呼ばれており、宝暦八年と九年(一七五八、五九)に接近したハレー彗星を見て、当時東海地震(一七〇七)以降富士山噴火(一七〇七)、三宅島噴火(一七一二、一七六三)、浅間山噴火(一七〇四以降一七三三までほぼ数年おき、一七五四にも噴火。一七八三は死者千名以上の記録的大噴火)、さらに宝暦六年(一七五六)の飢饉と災害・凶事が相次いでいたことから建てられたと推測されている。

六地蔵

六地蔵

庚申塔など

庚申塔など
写真左は寛文五年(一六六五)と葉山で最も古いとされる庚申塔で葉山町の重要文化財に指定されている。街道沿いの町でもあり馬頭観音や庚申塔、道標等の石塔の類は葉山町内でかなり見られると思う。現在はその多くは各地の神社仏閣や祠にまとめられている。玉蔵院内のこの一角もその一つ。

ということで、森戸神社が葉山の海を象徴するならば、こちらの森山神社と玉蔵院はさしずめ葉山の山を象徴する神社というところだろうか。葉山御用邸・一色海岸からもほど近い場所にあるので、散策ついでに足を運んでみると良さそうだと思う。

参考書籍・サイト
・葉山郷土史研究会編著「郷土誌葉山第2号」
・葉山郷土史研究会編著「郷土誌葉山第9号」
森山神社 – moriyamasha
一色玉蔵院境内の庚申塔

大きな地図で見る
逗子駅からバスで「葉山」下車

関連記事
葉山という地名の四つの由来についてまとめ
三浦半島八景のひとつ、葉山の長者ヶ崎海岸
葉山御用邸の周辺とその歴史
葉山の総鎮守、森戸神社と森戸海岸
葉山三ヶ岡緑地ハイキングコース(あじさい公園~熊野神社)と眞名瀬漁港

おさんぽマップ 東京周辺日帰りさんぽ (ブルーガイド・ムック)
実業之日本社 (2012-09-05)
売り上げランキング: 134496

スポンサーリンク
スポンサーリンク

フォローする

関連コンテンツ

スポンサーリンク
スポンサーリンク