僕も島耕作の続編妄想してみる

島耕作シリーズの続編について話していた
島耕作が社長を退くらしい。本編は東日本大震災後の迷走しだしたあたり以降読んでいないのだけど、大町久美子とも結婚したとかなんとか。ということで、なんとなく続編妄想してみる。
まず島耕作は順当に信頼する後任に社長職を譲り、会長に退く。当初は新体制が軌道に乗るまで見守っていたが、経団連入りを薦められ、自身も「一企業だけでなく日本のために」と沸き立つ情熱が抑えきれず経団連役員になる。当初はテコットとのバランスをとっていたが次第にテコットの体制が「自社のことしか考えない独善的なもの」に見え始め、「自分と理念を共有する」若手を後押しするようになり、遂に自身が選んだはずの新社長を追放、新新社長体制を他の顧問たちと図って構築、島院政が始まる。
島耕作はほどなくして経団連役員から副会長へ、さらに会長へと周りに推される形で就任、自身が信じる理想の実現のため着々と手を打ち、中国韓国ロシアなどを相手に一歩も引かず、政界再編を仕掛け、派閥は作らない主義だが、人的ネットワークを政財界に作り上げていき、隠然とした力を行使できるようになる。北鎌倉の彼の邸宅には政財界の大物が日参するようになり、鎌倉の御前と陰でささやかれた。
日本全体を考えて高い理想を掲げ続ける島は、それを実現しうるだけの力を持つようになっていたがそれを実現しようとしたとき、どうしても現実との壁にぶつかることになる。充分すぎるほどの権力を持ちながら、理想と現実とのギャップが理想主義者の島には己の無力さとうつる。「さらに力を、理想を解しない者を説得し、あるいは排除するだけの力を!」理想を追い求めていたはずの島はやがて力をこそ求めるようになり、権力の虜となっていった。
決定的に歪み始めたのは最愛の妻久美子の死で、悲痛な島の慟哭は三日三晩続いたという。七〇代も半ばを過ぎて再び孤独になった島は六〇代の頃の溌剌とした雰囲気は全くなく、枯れ木のような佇まいの中でひときわ爛々と輝く瞳が対面する者を震え上がらせる、妖怪然とした風貌へと変わっていた。最早彼には権力だけが生きる糧だった。一向に好転しない日本経済にあって島の国際的な人脈は巨大な影響力を持ち続けたし、結局島がしかけた政界再編は悉く潰れ、日本政治は迷走し続け、島の鶴の一声で首相の首が挿げ替えられる。
決して島耕作は有能ではなかったが、ルイ十四世からムバーラク大統領に至る歴史上の多くの専制・独裁体制がそうであったように、諸勢力の均衡点となる空白に島耕作がすっぽりと収まることで、絶大な影響力を持つようになっていた。派閥を作らないが豊富な人脈を作ることのできる島耕作の天性の才能こそが独裁者の条件でもある。
かつて経済大国だった中流国日本を象徴する存在として島耕作ほどふさわしい人物はいなかっただろう。高い理想と男性女性問わずもてる人当たりの良さで渡り歩き、権力の頂点に上り詰めた男が、老いてなお己の理想を追求するあまり、腐敗し、権力の虜となって、必死に力に執着を繰り返す。
最終回、北鎌倉の島耕作の大邸宅は火に包まれる。事故なのか放火なのか、あるいは自分で火をつけたのか・・・業火の中でひとり車椅子の老人は不敵な笑みを浮かべ、その生涯を閉じた。
・・・三宿の1LDK賃貸マンションの寝室で目を覚ました島耕作は二八歳独身マーケッターだ。昨夜近所の隠れ家系居酒屋で飲み過ぎたせいだろうか、頭が重い。嫌な夢を見たような気もするが、よく覚えていない。のろのろと起き上がりシャワーを浴びて一気に覚醒させ、適当にフルーツと栄養ゼリーとカロリーメイトをレッドブルで胃に流し込み、出勤準備を整える。今日もいい天気だ。島は愛車のマウンテンバイクに颯爽とまたがり、勤め先である渋谷のSNSサービス運営会社へと急いだ。斜陽のIT企業を立て直す情熱に燃えている・・・

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