PISA責任者によるTEDスピーチ動画「データに基づく学校改革」

アンドレア・シュライヒャー 「データに基づく学校改革」 | Video on TED.com

「OECD生徒の学習到達度調査(Programme for International Student Assessment, PISA:国際生徒評価のためのプログラム)」の責任者アンドレア・シュライヒャーによるPISAのデータを元にした教育制度の国際比較についてのTEDスピーチ動画。PISAはOECD加盟国の15歳の生徒を対象に読解力、数学知識、科学知識、問題解決について試験を行いその結果を調査するプログラムで、2009年の段階で日本を含め六五の国と地域が参加している。

前半では各種データの紹介が、後半ではPISAで成果を出している国の教育システムの共通点について要点が語られていてどちらも興味深い内容だった。特に成績が優秀なのはアジアでは上海、韓国、シンガポールで韓国は二世代前は現在のアフガニスタンと同程度の生活水準だったのが教育システムの整備に力を注いだことで大きく成果を残しているという話や、各種データから『現在の世界はもはや裕福で教育レベルの高い国と貧しくて教育が行き届かない国に区別できない』としているのも興味深い。動画の中の成績の高低と学習機会の平等性との四象限に分けた表では日本は成績は高いが、学習機会は不平等(社会的・経済的影響を受けやすい)という左上に位置していた。また、動画中の国際比較で教員のサラリーもかなり低い方に位置していたようで、教員採用・養成を特に重視しなければならないという指摘と正反対の現状にあるようだった。

公平性と成績という成果を出している国々の教育システムの共通点についても色々と挙げられていたが、成果をだしているシステムでは教師の採用・育成に力を入れて共同作業や専門性の向上が可能となるよう配慮され『設定する目標は高くても目の前の生徒に教えるべき内容は捉え易く』なっているのに対して、官僚的システムでは『大量の指導すべき事項を教師に押しつけ孤立無援で教室に配置』しているという指摘の負の面はそのまま日本にも当てはまっているのではないかと思ってしまうが、現状どうなのだろうか。

ところでスピーチによると成功しているシステムでは『国民が納得して今日の消費より明日の教育を重んじるように指導者が呼びかけている』と言うことだが、日本は「今日の消費」を重んじて経済を拡大し再分配を進めていかないことには経済的格差は広がる一方であり、それは教育機会の不平等の拡大へと大きく作用して「明日の教育」が危うい一方で教育制度はあきらかに制度疲労を起こして次々と矛盾が最悪の形で露呈しつつあるというジレンマが厳然として存在しており、さらに教育を巡っては政治家、専門家、保護者に評論家まで百家争鳴で方向性を定めることすら困難な状況という、社会として袋小路にじりじりと追い詰められている感があるなぁと思わずにはいられない。

色々と教育制度について考えるきっかけになる面白いスピーチだったので、おすすめです。

参考サイト
PISA(OECD生徒の学習到達度調査):文部科学省
OECD生徒の学習到達度調査 – Wikipedia

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