市町村別水道料金高い自治体、安い自治体トップ10

市町村別水道料金ランキング

千賀裕太郎監修「ゼロから理解する 水の基本: 水の安全と環境、ビジネス最前線まで (すぐわかるすごくわかる!)」に市町村別の水道料金が高い自治体、低い自治体それぞれ上位10件のランキングが掲載されていて興味深かったので紹介します。

同書の表の元データとなった総務省「地方公営企業年鑑 第59集」を確認すると、全国平均は1489.2円(参考:規模別家庭用10m3当たり水道料金(法適用)(Excelファイル 34 KB))とのことなので、それぞれがどれだけ高いか、またどれだけ安いかがわかります。しかし、探し方が悪かったせいか、ネットで公開されている資料から表に使われているような具体的な地方自治体のデータを見つけきれなかったので、同書の表の数値について検証できていませんが前述のファイルには水道料金帯ごとの自治体数が掲載されていて、その数自体は上記の表と一致しているので、おそらく信頼していいと思います。

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水道料金が市町村別に違う理由

『水道事業は、ほとんどが地方自治体による独立採算制で、水道料金も地方自治体ごとに異なる。水源の水質が悪い地域であれば、そのぶん高度な浄水処理施設が必要になるし、給水人口が少ない地域であれば、設備投資や水道管の維持などにかかる1人あたりのコストが割高になる。』(P60)

水道料金が高い自治体に挙げられているのは多くが一万五千人未満の小規模自治体で運営主体の規模が大きなネックとなっているようではありますが、その中で気になるのが六位の福島県伊達市です。福島県伊達市は相馬市の西、中通り地域に位置しており、東日本大震災で大きな被害を受けただけでなく、福島第一原発事故の影響で現在でも伊達市の一部が特定避難勧奨地点に設定されています。(参考「首相官邸 特定避難勧奨地点の設定(伊達市) (平成23年6月30日)」)「地方公営企業年鑑」の水道事業の概況にも東日本大震災の影響によって「特定被災地方公共団体の経営状況が水道事業全体の経営状況の悪化原因となっている」旨記載されていますが、それが、水道料金の上昇として被災自治体に跳ね返っているのだとすると、大きな問題ではないかと思います。もちろん表からのみ判断しただけなので、別の要因かもしれませんが、少なくとも被災地については、どのような理由であれこの表の上位に名前が出てくるような状況はあるべきではないと思います。

水道事業は統合化・広域化のメリットが大きい反面、地理的条件に左右されやすいため、ただ大規模化してもかならずしも改善されるわけではなさそうです。逆に安い地域ではどのような理由で安さを実現しているのだろうか、というところも興味が湧くところです。

この本を読んでいて痛感したのですが、豊かな水資源に恵まれた日本・・・なんてただの幻想ですね。世界最高峰の水道インフラ・技術を誇ってはいるものの、この表からわかるような水道インフラ・料金の埋めようのない地域格差はもちろん、食糧の大部分を輸入に頼らざるを得ない現状、日本に食糧を輸出している地域の水不足・水供給インフラの不備が食糧生産の減少・輸入量の減少へと繋がるリスク要因として存在しており、水資源問題は日本国内で安定供給できれば安心、などというものでもなさそうです。

地域で使える水資源の最大限度量の求め方

地域で使える水資源の最大限度量は水資源賦存量=(降水量-蒸発散量)×面積であらわされ、日本の年間一人あたり水資源賦存量は約3,300トン、世界平均の半分以下であるといいます(同書P8)。国土交通省「水の循環と水資源」にはもう少し具体的なデータが出ていて、世界平均の年間一人あたり水資源賦存量は7,044㎥、世界平均年間降水量は973mm、日本の年間一人当たり水資源賦存量は3,337㎥、年間降水量は1,718mmと、世界平均の半分に満たない少ない水資源賦存量、世界平均の二倍弱と恵まれた降水量、水道普及率97.5%という抜群のインフラ、一方で水資源賦存量の地域格差は大きく、北海道の1人当たりの水資源賦存量10,135㎥、山陰の9,091㎥、南九州の8,493㎥に対し、関東臨海398㎥、近畿臨海1,147㎥、沖縄1,973㎥などとなっています。

とりあえず基本書を一冊読んでみたという現状で、これらのデータを果たしてどのように理解するべきなのかまだよくわからないので、もう少しいくつか書籍や資料などをあたって色々勉強してみようと思っているところです。資源問題については、鉱物・海洋資源、エネルギー資源などとともに水資源も含めて良く理解しておきたいです。中途半端な理解だとどうしても危機感ばかり先立ってしまうので、ある程度問題を切り分けて、専門家の間で共有されている現状把握や対策の展望に触れられる程度まで理解を進めていければ精神衛生上宜しいですし、それに連動する国際政治経済の動きにもネガティブにならずに済みますので。

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次読む本。

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