袴田事件再審、BBCもトップニュースで報じる

袴田事件の再審開始決定、BBCでもトップページでの表示順位はエジプトの政局に次いでおり、トップニュースで報じられていますね。

BBC News – Japan man granted retrial after 46 years on death row

記事の中で、日本の司法制度の構造的問題点も指摘されています。

Japan’s justice system relies largely on confessions from suspects. Rights groups have cited long hours of interrogation, lack of access to lawyers and physical mistreatment as reasons why suspects end up confessing to crimes they did not commit.

「日本の司法制度は容疑者の自白に大きく依存している。人権団体は容疑者が、彼らが犯していない罪を自白してしまう理由として、長時間の尋問、弁護士へのアクセスの欠如、身体的虐待を挙げている。」

袴田事件はその判決までの過程も酷いものですが、死刑判決が下された裁判の際、無罪を主張する裁判官と有罪に固執する裁判官とで意見の不一致があったことが知られています。判決文は主文で死刑判決を下しながら、付言で捜査過程を厳しく批判する分裂したものとなりました。

 (付 言)
 すでに述べたように、本件の捜査に当って、捜査官は、被告人を逮捕して以来、専ら被告人から自白を得ようと、極めて長時間に亘り被告人を取調べ、自白の獲得に汲々として、物的証拠に関する捜査を怠ったため、結局は、「犯行時着用していた衣類」という犯罪に関する重要な部分について、被告人から虚偽の自白を得、これを基にした公訴の提起がなされ、その後、公判の途中、犯罪後一年余も経て、「犯行時着用していた衣類」が、捜査当時発布されていた捜索令状に記載されていた「捜索場所」から、しかも、捜査官の捜査活動とは全く無関係に発見されるという事態を招来したのであった。
 このような本件捜査のあり方は、「実体真実の発見」という見地からはむろん、「適正手続の保障」という見地からも、厳しく批判され、反省されなければならない。本件のごとき事態が二度とくり返されないことを希念する余り敢えてここに付言する。

『袴田ネット・袴田事件「被告人 袴田巌に対する住居侵入・強盗殺人・放火事件判決」』より

あわせて、裁判官の意見が大きく対立しながらも結果として死刑判決が下されるに至ったその裁判官の側の判決手続きの適正性という見地からも批判されるべきだと思います。

この判決文が書かれて46年、果たして司法関係者・制度は「厳しく批判され、反省され」てきたのか、未だに『捜査に当って、捜査官は、被告人を逮捕して以来、専ら被告人から自白を得ようと、極めて長時間に亘り被告人を取調べ、自白の獲得に汲々として、物的証拠に関する捜査を怠っ』ているのではないか、あらためて「厳しく批判され、反省され」なければならないと思います。

個人的な印象としては残念ながら、この半世紀、「まるで成長していない・・・・・・・・・」としか言いようがないのですが。

関連記事
PC遠隔操作事件・片山祐輔被告の保釈について
何故、中世の司法制度は「自白」に頼っていたのか?
何故、江戸時代の司法制度は「自白」に頼っていたのか?
司法制度を形骸化させた刑事訴訟法の成立の歴史
「自白の心理学」「取調室の心理学」浜田 寿美男 著
上田人道人権大使のシャラップ発言までの日本外交と代用監獄問題
「犯罪と刑罰」チェザーレ・ベッカリーア 著
今こそ「異端審問」を振り返る~何故スペインで異端審問は激化したのか?
「カラス事件」歴史を変えた18世紀フランスのある老人の冤罪死

スポンサーリンク
スポンサーリンク

フォローする

関連コンテンツ

スポンサーリンク
スポンサーリンク