2013 年度世界の死刑制度についてのアムネスティ・インターナショナルレポート

アムネスティインターナショナルのサイトで「2013 年の死刑判決と死刑執行」の資料が公開されていたので読んでいた。同レポートから2013年の死刑執行国の一覧画像を。

~2013 年の死刑判決と死刑執行~ アムネスティ・インターナショナル報告書(抄訳) (2014年3月27日発表)

2013年死刑執行国

同レポートによると2013年に死刑を執行した国は世界で22か国778件だが中国は死刑執行数が国家機密として非公開なので含まれていないという。ただし、『その数は、ほかのすべての国の総数を優に上回って数千にのぼるとみられる』。また他の国でも死刑執行数が国家機密扱いだったり政情不安の問題から死刑執行が行われてたが事実関係が把握できていない国もあるとのことで、実際には国数も執行件数ももっと増えるはずだ。中国やその他情報を取れない国・地域を除くと『死刑執行の約 8 割が、イラン、イラク、サウジアラビアのわずか 3 カ国に集中している。

日本は絞首刑を採用しているが、日本同様に2013年に死刑執行した絞首刑を採用している国は「アフガニスタン、バングラデシュ、ボツワナ、インド、イラン、イラク、日本、クウェート、マレーシア、ナイジェリア、パレスチナ自治政府、南スーダン、スーダン」となっている。

日本に関するレポートは以下の通り

日本では 8 人が殺人罪で死刑を執行された。伊能和夫と竪山辰美の 2 人は死刑から無期懲役に減刑されたが、5 人が新たに死刑判決を受けた。2013 年末の死刑確定者は 130 人だった。
死刑の執行は依然として、秘密主義のベールで覆われている。2 月 21 日に金川真大、小林薫、加納恵喜の死刑が執行された時も、家族は事前に通知されていなかった。しかも日本は、死刑執行に関する国際基準に反した死刑を続けている。小林と加納は、再審請求準備中にもかかわらず処刑され、2013 年に処刑された 8 人の 1 人、熊谷徳久は 70 歳を超えていた。

日本の最高裁判所は 10 月 16 日、87 歳の死刑確定者・奥西勝の再審を認めない判決を下した。奥西勝は、強要された自白に基づいて 1969 年に殺人罪で有罪となり死刑判決を受けた。死刑の確定から 40 年以上たち、世界でも最高齢の死刑囚の 1 人である。第一審では「自白」を撤回し、証拠不十分で無罪となった。しかし、上級裁判所は判決を覆し死刑を言い渡した。今回の再審請求は、最高裁判所が「当時の『自白』は一度撤回されたものの依然として有効」と判断したことが一因となり、棄却された。

袴田巌は、1968 年に死刑を言い渡された。以来何十年も独房で監禁された結果、精神疾患を発症したが、2013 年末の時点でも死刑囚監房に収容されたままだ。彼の再審請求に対する決定は、2014 年 3 月に静岡地方裁判所で下される見込みである。

原則として、再審請求が出て審理されている間は死刑が執行されないが、準備中(といわれている)に死刑が執行された。また奥西死刑囚の「名張毒ぶどう酒事件」は冤罪の可能性が非常に高い事件として日本弁護士連合会が再審を支援している。袴田死刑囚の袴田事件については先日報じられた通り請求が認められるとともに、釈放された。あと、上記の図で過去五年間で毎年死刑執行した国には日本は入っていないが、これは2011年に執行数が0であったためで、1990~92年の死刑モラトリアム期間終了後の1993年以降2013年まで20年間中19年間必ず死刑を執行している。

あと、民主主義国でダントツのアメリカだけど、州ごとに死刑執行の制度が違うため、死刑廃止している州もあれば死刑制度を残しつつも失効していない州、あるいは積極的に死刑執行している州などばらばらである。井田良・太田達也編著「いま死刑制度を考える」P167によると、1977年~2011年の米国の死刑執行数は1277件で、うち薬物注射1103件、電気椅子157件、毒ガス11件、絞首3件、銃殺3件となっていて、州ごとに見るとテキサス州477件、ヴァージニア州109件、オクラホマ州96件と続く。テキサス州がずば抜けて多いのは、地域おこし政策として刑務所を積極的に誘致してきたという経緯があり、刑務所が集中しているという点が大きいのだろう。(関連記事「自己増殖するアメリカの「獄産複合体」」)

同国の死刑判決には、誤判、一貫性の欠如、人種的不均衡という特徴があり、判決の多くは、国際法や保護規定の死刑に関する条項の遵守を怠っている。

1977 年に米国で死刑執行が再開されて以来 500 人目の執行となったテキサスの死刑執行では、人種差別が大きな問題となった。この事件では、黒人女性キンバリー・マッカーシーが白人の隣人を殺害した容疑で死刑判決を受けた。2002 年の再審時の陪審員は、白人 11 人に対して黒人 1 人だった。そもそも陪審員を選ぶ候補者母集団に黒人が少ないうえ、候補に残った黒人 4 人のうち 3 人を、検事が却下していた。

この話とか何時代なんだろ・・・

あと、バリバリ死刑執行してそうなイメージのロシアだけど、実は人道上の観点から、96年以降停止、2009年以降事実上廃止されている。まぁ、新興企業家、要人、政権に批判的なジャーナリストなどが変死したり突然死したりするニュースはよく見かけるが。

また中国についてはアムネスティは褒めて伸ばす方針にでも転じたのか、色々批判を行いつつも取調べ過程の全録画や拷問その他の違法手段により引き出した自白を証拠から排除する方針を定めたことについて前向きに評価している。

前向きな措置として、新刑事訴訟法の第 121 条には、被疑者の取調べ時にはその過程を録音または録画することが定められている。また、終身刑または死刑に処せられる可能性のある被疑者については、取調べの「全過程」を記録することが義務付けられている。ただし、被疑者が弁護人の立会いを求める権利は未だ保障されていない。

実運用されるのかどうかはともかく、中国に先越されちゃいましたね。

また、韓国は死刑制度自体は残しているが「16 年連続で死刑が執行されなかった」。実は韓国はいち早く陪審制度を導入したり誤判の減少に取り組むなど司法制度改革にも積極的だ。(参考:奈良新聞社「司法の犯罪(冤罪)は防げるか―裁判員制度を検証する」)

アムネスティのレポートはコンパクトに各国状況がまとまっているので一読おすすめです。

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