「ブラック・ラグーン10巻」広江 礼威 作

なんでも前回第九巻から五年ぶりに発売されたそうで、満を持して、待ちに待った、ひさかたぶりの・・・・・・まぁなんでもいいですがそういう長い日数が開いたことを表す前置きを付けずにはいられない、ブラック・ラグーン第十巻読みました。

九巻で、あちらとこちらの狭間で他人の命を駒にギャンブルをする悦びを感じ(愉悦部入部おめでとうございます)ながら、その代償としてほろ苦い結末を迎えたロック、当然ながらもう厄介毎に首を突っ込むのは止めようと反省するところからお話が始まる新章導入巻で、これまでと変わらず複数の事件が同時進行で進みつつ様々な登場人物の思惑がスラングとドンパチと陰謀を種に徐々に重なり合っていく展開は流石の構成力です。

今回のミソは、かつて――第1話――の自分と全く同じ境遇に見舞われている人物に直面してしまったときにロックはどう行動するかというところにあり、またもう一人のロックとなったロックとは似て非なる彼女のキャラも一気に立たせて後々の展開に幅を持たせつつ、小ネタから本筋まで伏線をばらまいていく、良い風呂敷の広げ方だなぁと思いました。

ブラック・ラグーンの深みって、ロックを初めとして、バラライカとホテルモスクワの面々も、ヘンゼルとグレーテルも、タケナカとイブラハも、鷲峰雪緒と銀次も、ロベルタも、シェーン・キャクストンも、おそらく張さんも、そしてラグーン商会の他のメンバーも、登場人物のことごとくが、過去との決別・過去からの解放を目指しながら、結局誰よりも過去に囚われてその泥沼の中に嵌って行く、そんな人々がもがく様子ってところにあると思うんですが、ここでロックを過去の自分と直面させることで物語をどう転がしていくのか非常に楽しみなところです。

巻を追うごとに三巻のタケナカの「あの頃の俺は、生きてるってことをこいつに賭けたんだ。そいつを嘘にしたくねえからだよ。」という台詞がどんどん重みを増して行っている気がするんですよねぇ。これは懐かしのボトムズの予告編の台詞ですが「今日という日が昨日のためにあるのだとしたら」という言葉にうまく言い表されそうな一種の呪縛が明るく楽しいドンパチの底に脈々と流れていて、その浮き沈みの舵取りに作者の手腕が光っていると思う。で、満を持して登場の十巻でもその手腕が確認出来て大満足でした。

今回、上手く罠にハメた側のジェーンちゃんですが、前回登場時の転がされっぷりを思い出すにつけ、そして、今回の図に乗りっぷりを見るにつけ、あとで思いっきりペイバックが待っていそうなので、楽しみです。また、すっかり世話女房ポジションなレヴィさんにはニヤニヤが止まらないのと、今作最高の萌えキャラでお馴染み「イエロー・フラッグ」のバオも相変わらずいい味出してた。ほか掃除屋ソーヤーちゃんも再登場でこれまた可愛さに輪をかけてきてたな。ところで、二回読み直したにもかかわらず俺の嫁のエダの姿が見当たらないんですがそれは・・・まぁお話の題材的に充分出番はあるだろうけども。

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