パーソナリティ障害―いかに接し、どう克服するか

精神科医で作家の著者が、近年人格障害と呼ばれる常識の範疇から外れた人たちの特徴を症例を元に解説したわかりやすい一冊。
これまであまり人格障害への理解が薄かったのですが、全体像の把握→個々の症例の理解までがこの一冊で大まかにわかりました。
米国精神医学会が出している「精神障害の診断と統計の手引き」(DSM-Ⅳ-TR)を元に、10の人格障害について実例を交えた「特徴と背景」、接し方のコツ、克服のポイントを詳述しています。
様々な形態のパーソナリティ障害がありますが、一言で言うと「偏った考え方や行動パターンのため、過程生活や日常生活に支障をきたした状態(P30)」であり、「自分へのこだわりと傷つきやすさ(P35)」という特徴があり、その特徴は「対等で信頼しあった人間関係を築くことの障害(P34)」を招き、その根底には自己愛の問題がある。と理解出来るようです。
パーソナリティ障害の発生原因は遺伝的要因と環境的要因とが平均で半々であり、他の病気や特徴(糖尿病、高血圧、肥満など)と比較すると環境的要因が多く影響すると書かれています。
その環境的要因とは何か、これまでの様々な研究から
重度のパーソナリティ障害に苦しむ人が、人生の最早期に、子供に本来与えられるべき愛情と世話が適切に与えられなかったこと(P48)」が大きな原因の一つだとわかっています。子供に充分な愛情を与えないことが、その子の一生を左右し、人格障害すらもたらす危険がある、というのは誰もがよく理解しておかなければならないことですね。
親の愛情の重要性が繰り返し指摘される本書ですが、ふと以前読んだ下記のブログのエントリーを思い出しました。
わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる: もしあなたが週60時間以上働いているとすれば、父親として役に立たない。息子が問題をもつようになったら、それはあなたのせいだろう
基本的に子供を作るつもりは全く無いのですが、親としての責任や重要性は良く理解しておこうと思っています。
さて、紹介されているパーソナリティ障害は境界性、自己愛性、演技性、反社会性、妄想性、失調型、シゾイド(失調質)、回避性、依存性、強迫性の十種類。
それぞれに著名人(ココ・シャネル、マーロン・ブランド、ユング、ダリなど)映画の登場人物(「ギルバート・グレイプ」「17歳のカルテ」)、無名な人々の症例などどれも面白く、興味深く読みました。
どうにも気持ちが理解できないものから、何かしら実感できるものまであって、自分の傾向がどこに由っているかがなんとなく掴めた気がしています。
以前からそうですが、シゾイドと回避性、依存性のそれぞれ特徴に近しいものが個人的には持っていると思っていて、でもそれは深刻なものではなく、自分の持っている”個性”の範囲内であると思っています。読んでて思い当たるなぁという感じですねー。
もちろん現在進行形でここに書かれている特徴について自覚があるの面も多いのですが、過去にこうだったなぁという部分も多くあって過去の僕はそういう特徴の人間だったか、という振り返りにも役に立ちます。
この類型分けは人間関係でもそれなりに有用ですね。
その人その人に応じたコミュニケーションの取り方の参考になります。
(勿論、無理矢理障害の類型に当てはめるのではなく、特徴や傾向の分析として)
本書にも書かれていますが、人への理解の端緒としてこの本は使えると思います。
他者を理解し自分の内面を深めて行く重要性を最後に語って、前向きに生きていくことの重要性を訴える内容に、著者の誠実さを感じることが出来ました。
結びの言葉の美しさが素晴しい。

とても悲しい出来事があったとき、ある患者さんが私にいってくれた言葉が、今も身にしみている。
「先生、転んでも大丈夫です。一回余分に起き上がればいいんですから」
自分が支えていると思っていた存在によって、私は支えられている。

パーソナリティ障害に関心が無くとも、人に興味がある全ての人に読んで欲しい一冊でした。
参考URL
人格障害 – Wikipedia

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