SEO上被リンクが重視されることへの違和感

検索エンジンで上位表示される要因として被リンクの質と量が重視されるという仕様にはずっと疑問を持っていました。

内容の正確なページを上位表示させたいと検索エンジンが考えているかどうかはさておき、ページの質の高さを判断する大きな要因は内容の正確性にあるでしょう。そして、そのページの内容の正確性を担保するのはどこから、どれだけリンクされているか?ではなく、何を参照して書かれた文章であるか、つまりどこへリンクをしているか?の方だと思います。

まず参照文献・論文・ウェブページへのリンクが明記され、明記されたそれぞれの文献・論文・ウェブページの質はどのようなものかという判定があった上で、そのページの構造だとかキーワードだとかの要因を踏まえて内容の正確性の評価が決定されなければならないのではないでしょうか。

被リンクの質と量は必ずしもそのページの内容の正確性を担保しないし、むしろ被リンクの獲得を重視するのであれば、その被リンクの量を重視するという基準はウェブページの正確性を阻害することの方が多いと思います。

被リンクの質と量が内容の判断基準となるのは、書籍や論文のようなすでに様々な資料を元に、ある程度の正確性を持って書かれていることがはっきりしているものについてだと思います。書籍や論文であれば、どこからどれだけ参照されているのかはその質を担保する大きな要因になるでしょう。一方で、ウェブページのように内容の正確性が書き手の裁量にしか任されていない文章の質の判断基準として被リンクを持ちだすべきでは無いのではないでしょうか。

しかし、正確性だけでウェブページの質が判断されるなら、インターネットは正しいだけでつまらない文章で溢れることになります。そこで初めて被リンクが判断基準として重要になってくると思います。参照文献を明記するなどある程度正確性が担保されたウェブページへのリンクの量と質が、そのウェブページの面白さやわかりやすさ、話題性などを判断する基準の一つになるでしょう。

まず、そのページの内容が何に基づいて書かれているのかの参照文献一覧がリンク付で明記され、そのリンク先の内容の信頼性と、その文章の内容とが判断された上で、ある程度正確性と質とが担保されたページの中かから、被リンクの質と量によって質が高くてわかりやすいorおもしろいor話題性のあるetcのページが選ばれて検索エンジンに上位表示されるというのが妥当な流れのように思います。

また、誰が書いたかというのも大きな判断基準になるでしょうが、専門家が専門外のことを調べずに書いた文章と、素人が専門外のことを調べて書いた文章なら後者の方が上だと思います。逆に専門家が専門分野について参照文献を明記せずに書いた文章と素人が専門外のことを参照文献を明記して調べて書いた文章なら前者の方が上で良いとも思います。もちろん専門家が専門分野についてきちんと資料を明記して書いた文章が最上位に来ることは言うまでもないのですが。

一方、正確性を必要としない文章・コンテンツというのもネット上には当然あるべきです。必ずしも、正しさの追求が正しく無さの駆逐に繋がるべきではありません。面白さを追求したり、個人の考えを掘り下げたり、創作であったり、そういう内容の正確性が必ずしも内容の質を左右しない文章の存在が――もちろんその正しくなさは批判もされるでしょうが――インターネットを豊饒にします。そのようなページには、検索エンジンよりもソーシャルメディアを通じて多くの人がリーチ出来るようになればいいでしょう。そういう点でソーシャルメディアはもっと多様なサービスが競い合う状態が望ましいとも思います。

先日紹介したようにネット上の医療情報の不正確性は研究者も指摘するところですし(関連記事1)、今年二月におきたアンネの日記破損事件でも被疑者はインターネット上で良く見られるようなアンネの日記偽書説を信じていたことを供述したとも報じられていました(参考リンク3、関連記事2)。また、南アフリカでHIV/エイズを蔓延させた要因に時の大統領がインターネットで知った科学的根拠のないHIV/エイズ否認主義を信じてしまったことにあります(関連記事3)。

情報の多様性を担保することと正確な情報への導線を確保することとが両立されたインターネットというのは出来ないのでしょうか。インターネット上で文章を公開するときに、内容の正確性を重視しようと思わせるインセンティブを書き手に与えることが重要で、そのために、文章を公開するときに何かを参照し、その参照した資料やウェブページへのリンクを明記することが検索エンジン最適化(SEO)になるという仕様が重要なのではないでしょうか。

ただ、なんともわかりませんがGoogle ブックスGoogle Scholarの存在は、文献や論文のデータベース化という役割以上の、各ページに挙げられる参照文献・論文の重要度を図り、内容の質を判断する検索エンジンの仕様を可能にする下準備という印象も多少は持っているところです。もしかすると近い将来にSEO上の大きな仕様変更があるのではないかと淡い期待を抱いたりもしますが、まぁ今のところは個人的な根拠のない想像でしかないですね。

以上のようなことをずっと考えていますが、当面、そのような仕様にはなりそうもないので、引き続き内容の正確さと文章の質とわかりやすさと面白さとをことごとく備えたような文章が書けないかと模索しながらブログを書いていきたいと思っています。

参考リンク
1) 被リンクとは 〔バックリンク〕 【backlink】 – 意味/解説/説明/定義 : IT用語辞典
2) アウトバウンドリンクとは (outbound link): – IT用語辞典バイナリ
3) 「日記、アンネの作ではない」 損壊容疑の男が供述:朝日新聞デジタル

関連記事
1) ウェブ上の健康食品情報ページの信頼性・信憑性について調査した論文の紹介
2) 「アンネの日記」真贋論争~偽書説が科学的検証を経て否定されるまで
3) 「エイズを弄ぶ人々 疑似科学と陰謀説が招いた人類の悲劇」セス・C・カリッチマン 著

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